東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『北国に行っていた』

仕事で仙台へ行っていた。相変わらず、新幹線は猛烈なスピードで、あっさりと到着する。車窓の風景をぼんやりと眺めていたけど、一向に雪景色にはならないまま、仙台へ到着。例年こんなものなのか、それとも今年が暖冬なのか。おそらく暖冬なのかなぁと思うが。そんなこんなで仕事をしていろいろ終わる。当たり前なのだけど。で、翌日、少しだけ時間があり、どうしたものかなぁと思い、本屋とカフェが併設されているお店がいくつか仙台にあるので、そのうちの一つに行ってみる。賑やかなアーケード方面とは線路を挟んで反対側の、鉄炮町という地名の住所にある『TiTi』というお店。一軒家を改造した店内は落ち着く作り。少しいろいろなものが雑多に置いてあるような印象もあるけれど、静かで落ち着く。そこで遅めの昼食で、カレーを食べる。アイスコーヒーは好みの薄味なのに、なんだかコクがあった。

古本屋で購入した、宮藤官九郎さんの小説『君は白鳥の死体を踏んだことがあるか(下駄で)』とエッセイ「いまなんつった?」を読む。どちらもご自身にまつわるエピソードが豊富で、知らなかったのだけど、宮藤官九郎さんは宮城出身。その方の本をたまたま購入して、そして、たまたま仙台出張が重なりそれを読むという偶然。不思議なものだなぁと思う。小説は高校生時代の悶々とする主人公の物語ととても歯切れのいいスピードで描いていて、ほんとにやにやしながら読む。自分の本を読むスピードが速いのか遅いのかよくわからないけれど、読みやすい本はさくさくと読める。といいつつも、読みやすい本だけが面白い本というわけではないのだけど。

で、読み終わって駅に向かう道すがら、歩いているだけで猛烈に寒い。暖冬暖冬といいつつ、北国の寒さはやはり東京のそれとはちょっと違う。芯から冷えるというか、痛いという言葉の方が適してる。で、少し、ふと、なんとなく在来線に乗ってみたい気になり、新幹線に乗る前に、適当に在来線に乗ってみた。どこに行くのかもよくわからず、ホームに停まっていた在来線に乗る。雪国の電車特有の、ボタンを押さないと扉が開かない電車。なので、出発の際、本当に静かに動き出す。もう日が暮れて、ポツポツとした灯りや車のヘッドライトだけが見えるような風景の中を、がたがたと揺られる。どこに行くのかもわからずぼんやりと車窓からの風景を眺める。前方に何かあるのかよくわからないのだけど、やけに警笛を鳴らす。それがなんともわびしいというか、音がはっきり聞こえるのが余計に長閑な場所であることを強調する。当たり前だけど、どこにも人は暮らしていて、そこに生活がある。接点が全くなく、縁もない人たちが、そこでそれぞれ暮らしている。そういうことを思うだけで、なんだか途方に暮れる。で、適当に数駅乗ったあと、駅で降りて、反対側の電車に乗る。もう駅名も忘れてしまった。仙台方面へ向かう電車は最初はガラガラで、僕は四人掛けボックス席の窓際に座り、ぼんやりしてた。お尻が暖かくて、気が付いたら寝ていて、起きたら仙台駅だった。いつの間にか、車内は人がたくさん。これから仙台へ行く人たちは、バイトや用事があるのだろうか。僕は、お土産を少しばかり購入して、新幹線へ。

仙台から大宮までは1時間とちょっと。ほんと、あっという間に到着。そこからJRに乗り換えて、池袋へ。外にでると肌寒い。日中は雪が少し降ったらしいけど、もう雨に変わっている。寒いといっても東北の痛い寒さに比べるとそれほどには感じない。でも、すぐにこの寒さに慣れてしまい、僕はがたがたと震えるのだろう。そういえば、仙台の駅ビルにあるスターバックスでコーヒーを飲んでいた。そこでワンモアコーヒーという、もう一回、その日のうちにスタバに行くと、安い値段でコーヒーが飲めるレシートをもらった。仙台でもらったレシートを東京で出すってちょっと面白いかなと思ったけれど、池袋のスタバはどこも混んでいて入る気が失せたので、少し歩いた別のチェーン店の喫茶店で少しばかり仕事。

そうやって土曜の夜は更けていき、店を出るころには、案の定、すっかり東京の肌寒さにやられつつ、帰宅。