東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『凱里ブルース』

日曜。朝、起きたら、強い雨が降っており、少しばかり気分が沈む。仕事があり、朝から外へ出る。午前中、ひどく雨が降っていたけれど、仕事をしているうちに落ち着く。午後になり急激に雨が止む。極端だぁ、梅雨め。仕事が夕方まで空いたので、少し検討をした結果、渋谷で映画を観ることにする。それで職場から渋谷まで歩く。雨上がり、少しばかり気持ち良い。少し湿度があるけれど、深呼吸をするとなんだか新鮮な気持ちになる。明治通りを渋谷方面に向かうと途中であったラーメン屋など、閉店しているお店がある。厳しい現実だなと思う。

シアターイメージフォーラムで上映しているビー・ガン監督『凱里ブルース』を観る。インドかどこかだったか、時間の考え方が過去から現在、未来へと線上に一方向にあるわけではなく、球体のような形で、過去も現在も未来も存在するという考え方があると聞いたことがある。当たり前と思っていた時間の流れと違うものを目の当たりにすると、価値観が揺さぶられる。『凱里ブルース』は説明もほとんどないまま、過去や現在をランダムにつなぎながら進んで行く。さらにワンカットの中で場所は変わらないのに、時間だけ飛んで物語を進めたり、話題にもなっているように40分の長回しをして、リアルタイムで物語を進行させたりもする。1日、24時間、普段は当たり前のように進む時間が、映画館の中で、2時間、スクリーンに向き合うだけで、人は途方もない時間を過ごしたように感じる。バイクや車でひたすら走るシーンをカメラで追っている場面があるが、それもせいぜい数分で、普段、自分で運転をするときはもっとはるかに長い時間を過ごすのに、なぜスクリーンを観る数分がやけに長い時間に感じてしまうのか。どこかに『物語を観る』という気持ちがあるのだろうなぁと思う。もっと画そのものや、その画面の中で起きていることを『そのまま』受け止められるようになりたいなぁと思う。

冒頭の明滅から始まるシーンから、物語とは異なる映画の豊かな時間がそこには流れていて、日常とは異なる刺激を受ける心地よさ。

映画を観終わってから、ふーっと疲れた気持ちになり、また仕事へ戻る。仕事を終えてから、習い事をおえた娘と嫁と待ち合わせをして、夜ご飯はファミレスで食べる。餃子をたくさん頼んだけど、娘が思ったよりも食べず、やけにたくさん餃子を食べることになる。

夜は、過ごしやすかった。