東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『諸君の熱情は信じます。』

天気予報でも脅しのように言われていたけれど、風が冷たい一日。換気のため、窓を開けているとそこから風が呪いのように入ってくる。

 

娘の学校から、保護者も毎日体温をチェックするようにと連絡が来たらしい。コロナで騒がれるようになってから体温を測るのも日常になってきた。仕方がないと思うけれど、切り替えれば、自身の健康管理には良いのか。

 

メールチェック、対応、返信、他の業務諸々。毎日、もう少しで終わりが見えてくるなぁと思ったら、新しい諸々がまた生じる。忙しいのは幸いだけれどもとはいえという気持ちにもなる。

 

日中、少し甲州街道近辺を車で走ったけれど、驚くほど混んでいた。緊急事態宣言なんのその。それから夜までいろいろ仕事。風は結局、夜までずっと吹いていた。

 

家に帰り、筋トレしながら、録画していたドキュメンタリー「三島由紀夫 50年目の青春論」を観る。自身が抱えていたコンプレックスに対して率直に言葉にしたり、編集者、知人、そして政治闘争に燃える若者、誰に対しても真摯に向き合って対話を重ねたという三島由紀夫。東大講堂で、東大生と話をする場に立ち会ったという当事者の方がその当時を振り返り「右だとか左だとか関係なく徹底的に話し合った先に、私は諸君の熱情は信じます、という言葉を残した」と話をされていた。

 

ネットで調べると、こういう言葉を残しているという。以下、引用

 

「言葉は言葉を呼んで、翼をもってこの部屋の中を飛び廻ったんです。/その言葉を、言霊をとにかくここに残して私は去っていきます。そして私は諸君の熱情は信じます。これだけは信じます。ほかのものは一切信じないとしても、これだけは信じるということはわかっていただきたい」

(「美と共同体と東大闘争」三島由紀夫・東大全共闘 より)

 

SNSが数多く出現し、実名匿名問わず無数の言葉が飛び交う中で、現在は深いところでの対話はどれほどなされているか疑問だ。正解か不正解か、単純なキーワードでまとめられる言葉。何かあると、トレンドや、炎上と持ち上げられるが、そこに、この三島由紀夫の言葉にする熱情はあるのか。

 

観終わったあとも、風はずっと強く、芯に堪える寒い夜。