東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『東京の果て』制作日誌

やけに寒い朝だった。いよいよ冬到来といった感じ。朝の自転車がつらい。耳が痛いうえに、頭まで痛くなる。でも、まぁ、それが冬か。その代わりってわけでもないけど、雲ひとつない青空で富士山がきれいにみえた。それだけでもいい気分になる。


■ マイナーチェンジでアレですが、暫定的にブログのタイトルを変えてもらいました。来年1月15日(日)に『東京の果て』という公演をやります。その制作日誌といった具合です。かなりそのまんまなタイトルです。その上、書くことはあんまりかわりません。公演詳細についてまだ詳しくかけないのは、もったいぶってるからではなく、単純に僕がネット環境にいないから。必然的にこういったネット上での告知関係を別の人にお任せするほかなく、そういったところの打ち合わせがまたきちんとできてないからであります。なんにせよ、ここからの約一ヶ月、年をまたいでいろいろやっていく記録として、この日誌を綴る予定です。


■ 2日(金)。1月の公演にも出演していただく役者の方が参加している芝居を新宿で観た。その役者以外にも以前お世話になった役者が数人出ていたので、公演後、いろいろしゃべる。仕込みが大変だったときいて自分たちの公演のことが不安になる。1月の公演は当日の朝、小屋入りをして、仕込み、場当たり、ゲネを強行し、そして本番に挑む予定。かなり厳しいスケジュール。照明スタッフの方からは最悪でも場当たりはきちんとしたいと要望がでている。それはとてもわかるし、さらに役者やバンドメンバーのことを考えるとどうしてもゲネもしたい。一度も通さずに本番を迎えることが、どれほどの不安を与えるかを考えると、ゲネ無しはきつい。というか、僕が不安で仕方がないので、ゲネはやりたい。


■ 3日(土)。日中から池袋で芝居の稽古。2人の役者に早めに来てもらい、それぞれが1人で演じる部分を稽古する。1人の役者にめちゃくちゃ長いモノローグをやってもらう部分は、最近観たお芝居の影響をモロに受けて作った部分だけど、単なる真似事をしたいわけではないので、どういう風に変化を加えていくかを考えながらいろいろやってもらう。


■ 夕方からいろいろな部分を抜きで稽古。稽古場が狭いので動きをつけるのが難しいけど、本番で使うステージもかなり狭いはずなので、むしろ狭いくらいの場所でやっておく方がいいのかもしれない。稽古場の狭さはともかく、きちんと本番用の舞台の大きさを決めていないのは僕の責任。舞台の大きさが曖昧なままで、動いてもらうのは役者に失礼だし、稽古としてもよろしくない。本番同様の大きさで、本番と同じように動いてもらわないと稽古にならない。そして、その上で狭さを感じさせない動きを作っていかなくてはならない。そういった動線の整理こそ演出の仕事のはず。


■ で、池袋の別の場所で練習をしていたかげわたりの面々がバンドの練習後に稽古場見学に来てくれた。かげわたりの面々が稽古を見ながら笑ってくれたりしてくれたのでほっとする。同じ作り手の立場にいるわけだけど、それでも芝居の部分を見て面白いと思ってもらえるとうれしい。谷川さんと一緒に撮ってきた線路の映像も気に入ってくれたみたいでよかった。それぞれの作り出すものがそれぞれを刺激しあえるというのはとてもいい具合。


■ ただ、安心ばかりもしていられない。土曜の稽古に体調不良で来れない役者がいた。他にも調子の悪そうな役者がいたし。それは仕方がない。まだ稽古は始まったばっかりだから無理せずしっかり直してもらうしかない。ただこれから冬場、どんどん寒くなるけど稽古はどうしたって夜遅くまでかかるので、体調管理の面は気を付けていかなければならない。当然、僕自身も。あと、いろいろスケジュールを見てみると今月、役者が全員参加して行える稽古は2,3日しかないことになっている。まぁある程度は予測していたことだし、そういった忙しい最中であることを承知で無理言って参加をお願いした役者もいるので仕方がない。部分的な稽古をしっかりとして、徐々に固めていくしかない。稽古後、みんなで飲みに行く。ほろ酔いで帰宅。


■ 4日(日)。当初は予定があったのだけど、それが変更になり突然時間が空いた。それで気が抜けたのか昼過ぎまで寝てた。久し振りにゆっくり寝た。で、起きてから数日前に突如沸いて出たある問題に関して、関係某所に電話。いろいろビシッと言ってみる。一応問題は解決の方向に向かったけど、その問題により僕のネット環境が充実するのは早くても年明け2月ぐらいになることが確定。今回の公演に関して自分でいろいろネットで何かをやろうと目論んでいたのに、駄目になってしまった。まぁ仕方がない。で、気分転換にと近くの温泉も出ている銭湯に行く。ゆっくりと湯につかる。体がポカポカして気持ちいい。リフレッシュする手段がいよいよおっさんみたいなことになってきたけど、しかし気持ちがいいからそれでよし。


■ 夜になってものんびりする。友人から又借りしている宮沢章夫さんの芝居のビデオを観る。遊園地再生事業団の公演『砂に沈む月』。誰もしゃべらない静かな空間なのになにやら澱んでいるような空気を醸し出している感じがテレビからでも伝わってくる。淡々とした2時間なのに緊張感が途切れない。芝居のテンポは決して台詞のスピードだけで作られているわけではないということが分かる。空間の空気感とでもいうのか。


■ それからNHKアーカイブスという番組で放送していた『イーハトーブ幻想曲〜宮沢賢治・音楽への旅〜』を見る。土に生きる民として誇りを持つべきだという思いを込めて作ったという『精神歌』や『種山ヶ原』といった曲や、『星めぐりの歌』など宮沢賢治が作った曲がいくつか紹介される。素敵な曲だなぁと思う。そして映し出される岩手の風景も美しい。こういう番組を見るとすぐに旅に出たくなる。