東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『見えない半年間』

■ 1日(木)。池袋の稽古場で稽古。若者2人とその友人が出てくるシーンなどをやる。


■ 今回の芝居は若者2人が東京にやってきて最初の半年間の話、というのが一応の体裁になっている。当然、半年間を丹念に描くなどというのは時間的な制約からいって不可能なわけで、その半年間を1時間半から2時間くらいの芝居で描くわけでして。さらに1時間半から2時間の芝居とはいってもその間、始終若者2人が出てくるわけではなく、別の登場人物もたくさん出てくるし時間も空間もポンポン飛ぶことになっている。


■ そういった中で、それでもきちんと描きたいなと思うのは、その半年間で変わる若者2人の関係性。半年間という時間の中でゆっくりと着実に2人の間に溜まっていったものが一気に噴出する瞬間。それが表面に現れるその場面をきちんと描きたい。そこが着あるとすごくいい感じになるはずだ。だからそれまでの2人が出てくるシーンでの掛け合いは重要になってくる。ちょっとした会話や距離感から判る2人の関係性をしっかりしていかなければならない。そしてその上で、重要なのは半年間という時間の経過。彼らが共に、そしてそれぞれに過ごした半年間が舞台上では見えてないだけで、きちんと存在しているようにしなくてはならない。演出する僕がその時間の流れをきちんと意識しておく必要がある。


■ 最初に2人だけのシーンを読んでみたが、まぁまだ初めてなのでどこかぎこちない。なんどか読んでいくうちに少しずつ2人の関係性が見えてくる。それから友人との3人のシーンを読んでみる。3人のシーンの方が会話も明るいので割りとスムーズに流れている気がする。こっちからきちんと作っていく方が作りやすいのかなと思った。


■ あとは若者2人に関わらず、役者全員に当てはまることだけど、元々僕が台本を書いていた時にイメージしていた人物像と、実際に役者がその役を演じて出現する人物像との違いとどう向き合っていくかだ。書いてたときにその役者をイメージして当て書きしたつもりでも、やはり実際やってみるとイメージとは違うところもでてくる。それは当然のことで悪いことではない。その時、無理に自分のイメージに引っ張り込まないように気をつけなくてはいけない。自分のやりたいことにあわせただけの変な注文ばっかりだと役者の身体が固くなる。自分のイメージを保ちつつも、役者の身体から浮かび上がってくるものを形にしていく。まぁこう書いててもそれをきちんと見つめて選び抜く力がぼくにあるのかは難しいところだけど。


■ 稽古後、稽古を見に来てくれた照明スタッフさんと打ち合わせ。今回はライブハウスといういつもとは異なる空間での芝居。いろいろと不安も多い。そのうえ映像を使うシーンも多いので、その映像を殺さない照明を作ってもらう必要もある。いやはやいろいろ大変。


■ 役者の一人、かげわたりの演奏にも参加する鈴木くんがかげわたりの演奏が入ってるCDをくれた。かげわたりの曲のほかに鈴木君が選曲してくれた音楽がたくさん入っていて、その選曲が面白かった。ナンバーガールエレファントカシマシハナレグミといったところから、僕がまったく知らないロックアーティストまでたくさん入ってるのだけど、その中に並木路子さんの『りんごの唄』や坂本九さんの『明日があるさ』なんかも入ってる。はっぴいえんどの『風をあつめて』が入ってたのはうれしかった。大好きな曲だ。久しぶりに聞いた。洋楽やロックとかが好きなのかと思ってたので、こういった曲も聴くのかと驚いたりした。さらに徳永英明の『夢を信じて』が入っており、これはこれでまた予想外のところからツボを突かれた感じで面白かった。鈴木君の音楽に関する懐の深さがうかがえました。