東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『ピクニックと2回目の授業』

日曜。嫁と娘子が帰って来てから、久しぶりに一緒に過ごす休日。掃除をし、洗濯をする。ベランダに布団を干しているとあまりの気持ちいい陽気に、娘子がベランダに寝そべりはじめた。確かに気持ちがいい。


それで、昼ちょっと前に三人で出かける。目白の駅前の嫁がお気に入りのパン屋(名前失念)でパンを買いこみ、おとめ山公園へ。途中で、とても素敵な階段を見つける。目白は歩くと高低差がある。平坦に思っていたところが、実はやけに高台で、そこに高級住宅街があり、高田馬場に向かって斜面になっている。歩けば気づく。して、おとめ山公園。家族そろって好きな公園。木々が多く、中心にある池には亀がやたらといる。風が心地よくて、見上げると木々が揺れている。いつまでも見ていたくなる陽気。


今は、呼称が違うのかもしれないけれど、いわゆるボーイスカウトの男の子たちがやけにおり、公園の中を行ったり来たりしていた。どうやら、隊長のような人たちが公園内に何かを隠したようで、それを子供たちが探している模様。ボーイスカウトたちを見ていると、ウェスアンダーソン監督の『ムーンライズキングダム』を思い出す。なぜか、ボーイスカウトやっている子って、眼鏡をかけたちょっと知的な風の子供達が多い。もしくは、やけに巨体。


公園内をうろうろとして、頂上のような場所で昼食。パンを食べる。ゆったりとした時間。そして、パンがうまい。カツサンドが特に美味しい。


帰りは、遊び疲れた娘子を抱っこして歩いたので、さすがに疲れた。一緒になって昼寝。それからまた出かけたが、何やら僕が疲れてしまい、帰宅してからもうつらうつらして、夜も21時を過ぎたあたりで娘子を寝かすつもりで眠ってしまった。翌朝、嫁から言われたのは、娘よりも先に寝るんじゃないとのことだったので、どうやら先に眠っていたらしい。まったく、眠っても眠っても眠りたいない。


今日は、雨の一日。で、また仕事の一環で、「映像演技」の授業をすることに。前回、授業をして、小栗康平監督の著書「映画を見る眼」を再読し始めた。改めて面白い、というか、映像に携わろうとするにはとても良い入門書だ。で、かつて読んだ記憶がおぼろげにあったのか、僕が前回授業をした時に話したことは、小栗さんがこの本の最初に書いていたことと重なっていた。映像に関わろうとするならば、やはり知っておくべきことなのだろう。本当に面白い。


で、今回は、前回観せた小津監督の『東京物語』のシーンから、改めて『感情』という点について話をしてみる。笠智衆さんの演技。そこの立ち居振る舞い。立ち方(まぁ、実際は座っているけれど)。足していくだけが演技ではないということ。自分なりに話して、なんとなく映画について話をするのだけど、その際に、『スワロウテイル』『リリィシュシュのすべて』の監督について語ろうとして、恐ろしいことに岩井俊二監督の名前が出てこなかったことにびっくりした。今では、普通に出るのに、なぜあの時でなかったか。緊張もしていたのだろうけれど、ちょっと恥ずかしい。


で、次に小栗康平監督の『埋もれ木』DVDで、僕がとても好きな岸部一徳さんが学校で埋没林について語ろうとする教室のシーンを観てもらう。そのシーンの岸部さんの演技に僕がどれほど刺激を受けたか。さらにそのシーンの、スタッフワークについても話す。


そんなことを話していたら、時間が予想以上に経ってしまい、結局この日は、話ばかりして終わってしまった。どうだったのだろう。授業を聴いている若い子達は、ジャージなんかを着て授業を受けているわけで、もっと身体を動かしたかったのだろうか。優れた映画を観てもらうことで、何か刺激を受けてもらいたいという気持ちがあるのだけど、どう受け止められたのだろう。まぁ、『東京物語』も『埋もれ木』も、僕は面白いと思うけれど、それを観たことがない人たちにしてみれば、どう思うか確かに疑問だ。そもそも彼らは『映像演技』という授業を受けて、俳優を志しているわけで、僕が話していることは、演技というよりも、映画に関する入門的なことが多いような気もするし。あと、まぁ、演技論にしても、自分の主観があるし。どのように話すべきだったか、それとも講義ばかりではなく、もっと実践的に進めるべきたったか。悩ましいな。で、授業が終えたら、喉がかれていた。2時間しゃべるって本当に疲れる。その後、どうにも疲労がとれないまま、なんともぼんやりと過ごしてしまった。雨が降っていたのに、やけに蒸し暑かったせいもあるか。