東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『境界を行き来する』

tokyomoon2016-02-25

朝、目覚めたらやけに寒くゴミを捨てに外に出たら駐車している車の上にうっすら雪があった。どおりで寒いとは思うものの、それにしても寒かったり暖かかったり。


そして気づくと2月も下旬。


夜に家に帰ってからまどろみつつ映画や演劇の映像を観る日々。
パルコプロデュース『鈍獣』/『印獣』
ウーマンリブ『7年ぶりの恋人』
細田守『バケモノの子』
トラン・アン・ユン『ノルウェイの森


ノルウェイの森』のステディカムカメラを使ったカメラワークが個人的にとても面白く、大学構内の学生運動をしている風景とか迫力があるし、それをなんとはなしに横目で見ている主人公の姿も良かった。あんな洒落た家が1970年代、学生の暮らすアパートにあったのだろうか。


『バケモノの子』の、バケモノが住む街が谷の底ということで、渋谷の表裏世界であることが興味深く、あれが新宿や秋葉原、もしくはその他の都市でなく、渋谷であることの意図があるのだろうなぁと思う。ロゴや店名、看板の一つをとっても、ディテールの細かいところまで描写されている渋谷の街が映し出されるのは、そこが現実の世界であることを出来うる限り再現しようとしてのことだと思うし、バケモノの住む街もまた谷に張り付いてあるように傾斜のある坂の街に家々があるところも渋谷の街のあの入り組んだ傾斜と対を成しているだろう。そこに境界があり、そこを自由に行き来する。坂の「さ」という言葉には境目・境界の意味があると中沢新一さんが「アースダイバー」で言っていた。主人公たちは、バケモノ/人間、師匠/弟子、父/子、などあらゆる境目を縦横無尽に行き来する。