東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『音楽とイメージ』

高速道路

■ カタカナのリーディング公演「クロッキオ」の劇中で使われた音楽がとてもかっこよかったので、出演だけでなく音楽も担当した鈴木君に曲をデータで欲しいとお願いしたところ、さっそくメールで送ってくれたので、今その曲「クロッキオ」と「highlander」を聴きながら日記を書いている。


■ 話を聞くところによると、鈴木君は谷川さんからこの芝居のイメージを聞いた段階でこれらの曲を作ったのだという。まぁもちろん、その後いろいろと手を加えて完成系になったとは思うけど、大元はこの作品作りの初期段階に出来上がっていたのではないか。これは僕の憶測だから定かではないけど、谷川さん自身、この音楽からいろいろと喚起されたものもあったのではないか。と、いうもの「東京の果て」の台本を書いてない段階で、音楽を担当してくれる予定だった家常さんに芝居のイメージを伝えたら、数日後にいきなり曲を書いてきてくれて、僕自身その作ってきてくれた曲を聴いたからこそ台本を書けた部分もあったからだ。


何にもないところから曲を作るのは大変な作業じゃないかと思って、一度家常さんにそのへんの話を聞いたことがあるのだけど、その時家常さんはマイケル・ナイマンを例にあげて話をしてくれた。


マイケル・ナイマンは映画音楽を作るとき、完成した映像を見ないで音楽を作るのだそうな。完成した映像はむしろマイケル・ナイマン自身から自由な発想を奪うのだという。完成された映像よりも、最初に台本を読んだ段階でマイケル・ナイマンは自分が思い描いたイメージを大事にして曲を作ることを心がけているのだという。


家常さんにしても、鈴木君にしてもおそらく曲を作るとき、そうやって脚本を担当する人から聞いた作品のイメージを自分なりに膨らませ、音楽を作っているのだと思う。面白いのは、そうやって作ってきてくれた曲が、イメージしていた作品世界観とかなり近いこと。そしてその音楽によって作品世界がぐっと拡がっていくこと。芝居を作るとき、こういった相乗効果を受けることはとてつもないよろこびだ。僕個人としてはこの鈴木君が作った曲はすごくかっこよくて、作品に厚みを加えていると思った。


■ 今日の空日記。仕事である風水師が銀座に持っているどでかい自社ビルに行く。一代で銀座にビルを建てるとはすごいことだ。僕はあまり風水とかそういうものに興味がないので、この人にも興味がないけど、まぁなんといいますか金を稼ぐ人っていうのは良い意味で恥じらいなどお構いナシのある種の勢いのようなものがあるのだと思った。この風水師のドーターというか娘が27歳だと聞いて、「あ、自分と同い年で、この人は銀座に住んでいるのか」と勝手に思い少しだけ卑屈になりかけた。今日は雲がもくもくしていた。