■ 銀座のテアトルシネマで『4ヶ月、3週と2日』を観たのは20日(木)。1987年、独裁政権下のルーマニアで、違法な中絶行為を行なうルームメイトの手助けをする女子大生の一日を描いた作品。主人公の姿を追うカメラはすべて手持ち(だったと思う)。主人公の歩く姿を追うカメラのぶれ具合が、そのまま表現として活かされているように思えた。厳しい管理下の中で、抜け道を見つけながら気楽にやっていた女子大生が、妊娠・中絶という問題に直面し、抜け道などどこにもないハンパない現実にさらされる。その当時のルーマニアの政治情勢についてまったく知らないままに作品を観たので、主人公が抱える葛藤をどれほど理解できたから判らないけれど、それでもこの作品の根底にある昏さはひりひりと感じることができた気がする。
物語のラスト。中絶を終えたルームメイトがホテルのレストランで肉料理を食べるシーン。その肉料理を見て食欲を抱けずに、ひとまず水を頼む主人公とルームメイトの対比も面白いけれど、それよりもこのシーンで興味深いことがあった。二人がテーブルを挟んで向かいあう姿をカメラはこの映画の中でたぶん、ほぼ初めて、固定カメラでとらえる。と、どこか重たい二人の会話の途中から、主人公の肩口のあたりに車のライトが映り込んでくる。やがて車の通り過ぎる音も聞こえてくる。それで、このシーンが、レストランの外から窓越しに彼女たちの姿を撮影したものだと気付く。カメラは外に置きながら、音声は二人の声を撮る為に室内で収録されている。それが撮影に使用したレストランの場所の都合なのかどうなのかは判らないのだけど、この撮影の仕方が僕にはとても面白かった。僕らは、彼女たちを、透明な壁越しに見つめる。とても透明な、見えない壁がそこには存在している。車の走行音が気になったのか、ふっとカメラの方に眼をやる主人公の姿を遮るように映画は終わる。
■ 昨日、22日(土)は六本木のライブハウスEDGEにて、友人たちのバンドかげわたりが主催するイベントがあった。4つのバンドのライブ演奏。久々に轟音にたっぷりとひたって耳がキーンとしたけれど、それも心地いい。
それにしても、トラブルというのはまさかというときにあるものなのだなぁと思った。ライブが始まる前は、準備に落ち度はまったくなく、無事にライブは進むだろうと思っていたのだけど、肝心な時にちょっとした機械のトラブルが生じた。そのトラブルは、ギリギリの所で、なんとか解決して、結果的に問題なく全て終わったのだけど、ほんとそういうことは起こるもんなのだな。でも、まぁ、芝居にしてもライブにしても、そういうこともふまえて、やっぱり面白い。もちろん、結果的にうまくいったからそんなことは言えるのだけど。
■ それで始発まで飲んで(とはいえ、僕は酒の席の途中で少し寝てたけど)、家に戻る。で、寝ると起きたら案の定、お昼をまわっていた。ダラダラとしてから、池袋に出て、タカセという洋菓子屋が経営する喫茶店へ。池袋駅東口の目の前のビルの9Fにあるこの喫茶店は眺めがスバラシイうえにお客さんもそこそこしかいない。あと、アイスコーヒーの味が好み。そこでぼんやりしたり考えたりいろいろやって21時に帰宅。
■ そういえばボチボチ桜の季節。全然関係ないけど、なんとなくトップ画像を変更。