東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

笑いの大学

今朝も寒かった。落ち着いて考えてみれば、10月も半ば。秋だ。寒くて当然か。北海道にいた頃は、この時期にタイヤを冬用スタッドレスに履きかえる。つまり冬支度。そういえばそんな時期なのだ。なんだかいきなり季節が反転しているような気さえする。

一昨日の夜、埼玉の地元で高校の時から友人Hくんと夕食を一緒にとる。と、いうのもHくんが仕事の都合で北海道の網走周辺にいっており、北海道にゆかりのある僕にわざわざ北海道土産を買ってきてくれたからで、それを渡してくれるから。Hくんが北海道出張中に、一度僕に電話をくれて話したときに、お土産は何がいいと聞かれて、僕がマルセイバターサンドを注文したら、きちんと買ってきてくれた。北海道土産といったら白い恋人が有名だけれども、僕が大学に行っていた頃に、マルセイバターサンドが人気がでて、北海道土産の販売数で白い恋人を追い抜いたことがあった。今はどうかは知らないけれども。美味しくて僕も好き。これを作っているのは、帯広に本社がある製菓会社六花亭で、北海道では有名なお菓子屋だ。全国的な知名度はまだないのかもしれないけれど、良質な商品を安価で販売している。そういえば最近JR東京駅のホームにものすごく大きい牛の写真の広告があり、なにかと思ったら、これも北海道に本社を構えるよつば牛乳の広告看板だった。よつば牛乳の牛乳は美味しい。これまた本州では手に入らなかったのだけれども、この度、十勝牛乳という、それはまぁ、そのまんまといわれればそのまんまな名前の牛乳を販売するそうで、その広告看板をデカデカと出していた。その看板を見てから、意識して十勝牛乳を探しているんだけれども、今のところお目にかかれていない。ともかく北海道企業でがんばっているところを見るのはなんだかうれしい気分になる。

Hくんは北海道が寂しかったと言っていた。まぁ出張した場所が網走周辺ということは、なんとなくどんな場所か想像がつくけれども、北海道は確かに寂しい場所だ。札幌は別格だけれども、釧路や帯広などの町も、少し離れるととたんに寂しくなる。一極集中した都市が点在する以外は、ポツリポツリと町があるといった感じだ。それはやはり開拓以後の歴史的な短さがあるのだろし、何せ寒い土地だ。人口分布の広がり方は、本州のそれとはずいぶん違う。全国地図を見てみると、北海道はほんとうに人の住む町の形成のされ方が、他の場所と違うことがわかる。とにかくHくんは初体験の北海道で、すでに痛いと感じられる寒さと寂しさを体験してしまったため、あまりいい印象を持てなかったそうだ。多分僕も帯広のような中規模都市にいなかったら、あまりの寂しさにすぐに北海道を出ていたかもしれないし。帯広はいい町だ。あんまり他のところに行ってないんで、たいそうなことは言えないけれども、北海道の中で一番好きだ。

Hくんとは他にもいろいろしゃべった。お互いの仕事のことや、僕の演劇のことも。励まされることもいっぱいあった。あと、下世話なのだけれどもお金のこともしゃべった。Hくんなりに如何にしてお金を稼ぐかをいろいろと研究しているらしく、中国株だとかいろいろと教えてくれた。面白かった。

昨日は仕事が休みだった。ちょうど会社で10月30日公開の「笑いの大学」という映画の社内試写がやっていたので、それを見に行った。劇作家三谷幸喜の代表作の一つである同名戯曲の映画化。監督を古畑任三郎などを手がけた星譲さんがしていたものの、脚本は三谷幸喜さん自身が映画用に書き換えており、芝居とは異なるエンディングになっていた。芝居の時に西村雅彦さんがやっていた検閲官役を役所広司さんが、近藤芳正さんがやっていた戯曲作家を稲垣吾郎がやっていた。芝居の方を見ていたので、芝居版とどういう差別化をしたのか気にしながら見たけれども、結構踏襲して作っていた。まぁ脚本三谷幸喜で、監督、プロデューサー、音楽監督まですべてテレビでの三谷幸喜作品を支えているメンバーが集まっていたので、それも当然か。

役所広司が抜群だった。とても良かった。あの佇まいはなんなのだろうか。役所広司は三谷作品にも常連で連ドラでも主役をやっていたし、芝居も出ている。喜劇役者ではないけれども、あの佇まいで今回もとてもいい味だしている。今村昌平監督、黒沢清監督、青山真治監督、どんな監督さんの作品に出ていても、その佇まいはいい。以前は役所広司が苦手だったけれども、最近はすごく好きになってきた。はっきりいって顔が怖かった。なんだかよくわからないけれど、怖かった。目とか。あと頬の膨らみとか。今思えばとても失礼なもんだ。それにしても、日本映画界にはなくてはならない方だ。笑いの大学は役所広司さんの映画だ。