東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『アフターウェディング』

■ Arva portに夢中なのでHMVで一枚アルバムを購入してみた。『Alina』。ネットで調べて気になったアルバム。ジャケットを見て気が付いたのだけど、ガス・ヴァン・サントの『ジェリー』という映画で使われている曲らしい。映画は未見なのだけど。それでさっそく聞いているけど、これが、また実にイイ。24時間このCD聞きっぱなしでもいい。言い過ぎか。そんなことないか。いや、いける。多分、24時間いける。途中で俺は寝るけどいける。それほどイイ。


■ それから有楽町へ行く。地下鉄から地上へあがり、駅前の変わりっぷりを見て驚いた。変わるもんだなぁ。道路までぶっつぶしたからかなり敷地が広く感じる。都市は変容していくんだなぁと思う。それが良いか悪いかはおいといて。


それで新しく出来たそのビルに入っているシネカノン有楽町2丁目という映画館でスサンネ・ビア監督の『アフターウェディング』を観る。Sigur Rosのとても好きな音楽が使われていて、それがほんと、まぁ、いちいち沁みて仕方がない。予告編を観て、今、夢中で読んでいる中上健次さんの秋幸三部作に通ずるものがあるんじゃなかろうかという憶測があり、是非見たいと思っていた。見終えて、やはり、『アフターウェディング』は父性の『愛』の話と見れるのかと思った。父親役の方がかなり巨躯な身体をしており、読んでる作品も作品なだけに、すっかり秋幸の父、浜村龍造とシンクロさせてみてしまった節はある。血の継承の物語ではないし、かなり偏った見方だろうけど。見えてくるのだ。なにせ父性の『愛』。


『愛』するために葛藤する主要人物4名の揺れ幅、振れ幅の大きさが尋常じゃない。泣くし、叫ぶし、笑うし、黙るし。それと飲むし。物語ラストで父親が心情を吐露する場面は、受け入れられるられないを越えたところで身につまされるものがある。動機も行動もそれがいいか悪いか、正しいかそうでないかなど本人だってわからんわけで、だから苦しいし、でも、それしかできねぇってところがあって、それで全部さらけ出して『愛』を見せるしかねぇってなるわけで、だからその姿にもうどかんときてしまいました。『愛』なんてものは数量化できるものでないし、どうしたって個々人で違う認識だろうから、この映画における父親の『愛』の行動のきっかけとなる動機や、行動に対して『この愛すげえ』なり『この愛、がんばりすぎじゃね?』なり捉え方は人それぞれになっちまうのだろうけど、ひとまずアリナシ論じゃないところで、この父親、根性みせたなぁ、と僕は思えた。


■ 映画を観た後、かげわたりのミーティングにちらりと顔を出し、それから谷川さんと少し飲んで話をした。0時半ぐらいにわかれて久しぶりに池袋から歩いて帰宅。まだ歩くのが我慢できないほどの寒さではない。