東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『夜の出来事』

tokyomoon2007-11-15

■ それまではなんともなかったのに夕方ぐらいからお腹の調子が悪くなった。おかしいと思ったらなんだか身体中の調子が悪くなっていくみたいで、これはもしや風邪の兆候ではないかと思い、そんなことになったらたまらん、回復せねばと考えた結果、「こうなりゃ、寿司を食べなきゃならんな」と思うに至った。酢飯と魚とガリとお茶で、身体を回復させるのだ。


■ それでひとまず家に帰ってから、自転車で池袋へと向かう。その途次、バットの素振りをする若者を見つける。かつて、それなりに野球少年だった頃、僕もしばしば夜に家の前で素振りをしていた。手がまめだらけになるまで振っていたが、それがなかなか結果とは結びつかなかった。冬の寒い季節、素振りの合間に空を見上げるとオリオン座と冬の大三角が見えたのを覚えている。中学生の頃の話。


さらにしばらく自転車を走らせると、今度はほうきで家のまわりの落ち葉を掃いている年配の女性を見かける。日中ならばさして珍しい風景ではないのかもしれなが、なぜこんな夜にほうきで掃いてるのかと思う。女性は一心不乱に落ち葉を掃いていた。


■ 川越街道と明治通りの交差する五差路で信号待ちをしていた。僕だけではなく、駅へ向かうのだろう人たちが他にも数名。どこからか「うぇーい」という大きな声がする。その声の主が徐々にこちらに近づいてきた。40後半から50代の男性。手にはギターを持っている。そして突如、「いいでしょ、このギター、いいんだよ、このギター。」と信号待ちをしていた僕たちに手に持ったギターを自慢し始める。その場にいた若いサラリーマン風の男性の方が、「いいですねぇ」と話を合わせる様に返事を返すと「いいんだよ、昭和14年なんだよ、これ、昭和14年。」と、ギターを誇らしげに見せながらしきりに『昭和14年』というフレーズを持ち出す。何にかかる昭和14年なのか。自分の生まれ年なのか、それともそのギターに関わる数字なのか。判らない。そのうちに信号が青に変わってしまったので、自転車をこいでその場所から離れた。


しばしば行く池袋の回転すし屋にたどり着いて寿司を食べてると、しばらくしてから隣に中年の男性が座った。あさりの味噌汁を頼み、2枚ほどネタを注文したその男は味噌汁の中のあさりを丁寧にひとつづつ食べ、それが終わると、さらに1枚コンベアの上をまわる寿司を取り、それを食べ終え早々に席をたち会計を済ませたのだった。味噌汁はあさりを食べて、残りの汁は残したままだった。普通なら、汁のほうを飲み、だしとなるあさりを残すのではないかと思うが、何か急ぎのようでもあったのか、その人の食べ方がそういうものなのか。よく判らない。


■ 家路に向かう途中、コンビニで本を物色。オタール・イオセリアーニ監督と西島秀俊さんの対談があったので『BRUTUS』を購入。

■ 『地の果て 至上のとき』のページをめくるスピードがどうものってこない。気分でも変えて別の短編小説を先に読もうかと思案する。