東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

金曜だけれど水曜木曜の話

台風は過ぎたみたいだ。実感してひどい台風だったと感じたのは、昨日の夜7時ごろの降った雨や、10時ごろの相次ぐ電車の運転中止で、これはついに大型台風上陸かとビクビクしたけれども、その後は雨も止み、風も吹かず意外にも静かに過ぎていった。

とはいうものの、今年10個目の台風が日本列島に残した爪あとは相変わらずひどく、たまたま住んでいる場所が台風から免れたというだけに過ぎないわけで、やはりニュースで世間のことを知ると、ただただその被害に閉口する。

僕はというとここ数日仕事が休み。今日も休みなのだけれども、ブラブラとしているついでにこの日記を更新している。(そのはずだったけれども、めんどうくさくなってしまい、結局金曜日に更新)昨日、一昨日にいろいろあったから。

19日(火)。この前も竹を運ぶ手伝いをした劇団ミヤコハンターのOと昼食を食べようと約束をしていた。その日丁度、ウォン・カーウァイ監督作品「2046」の試写があったので、せっかくだからOを誘って一緒に観る。ウォン・カーウァイ監督の映画は初見。予告編やCMを見た印象で入ると正直ちょっと違うので驚く。CMは物語の一部を掬い上げているだけで、本筋ではないような気がする。それは日本でこの映画を売る際の戦略なのだろうか。つまり木村拓哉出演ということに焦点をおく。しかし結局この映画の主人公はトニーレオン。そしてトニーレオンを取り巻く女達。物語は最初、いろいろな場面がいったりきたりするが、それは後半への伏線で、その辺の繋ぎ方はきっとこの監督独特のものなのかもしれない。象徴的な印象が残るような場面の映像の作り方は巧さを感じる。そしてもう一つ気になったことは、この映画の時代設定が1968年前後だということ。またこの時代だ。かといって、それほどその時代背景が映画に関わっているかといったらそんなことは感じないものの、やはりその時代を設定したことに何かしら思うところがあり、それはこの物語が、SEX、自堕落な生活、そして恋愛について描かれているわけで、そういうものの匂いのようなものが1968年代の雰囲気に合ったからなのではないのだろうか。もしくはその時代がベルナルド・ベルトリッチ同様、監督にとって強い印象を与える時代だったのか。そこまで気になって「2046」の公式ホームページを見るとこの監督は1958年生まれ。1968年は10歳か。やはりちょっと考えすぎかもしれない。まったく意識せずにこの時代を選んだのか。

ただ、たとえば日本人男性と付き合うことに徹底的に反対している父親が出てくるシーンがあり、ある程度時代背景は理解している気はするものの、日本とは別の、香港や中国の1968年があったことは確か。それにしてもウォン・カーウァイはなぜ、日本人を登場させたのか。なぜ他の国のものではなかったのか。西洋人ではなく、同じアジアの、その中でも、日本人が、どこか決定的に切り離されて、特別なように、選ばれたような印象もいささかある。それはいい意味でとか悪い意味でとかではなく。印象的だったのは、父親の強い希望で、日本人男性と別れた女が、片言で、日本語を「ワカリマシタ、ハイ、イエイエ、コンニチワ、ソウデスネ」と言いながら部屋の中を歩いているシーンで、その時、日本語の響きが、ハイヒールで床を歩く音と相まって一種音楽を奏でているようでもあり、異国の監督が、日本語の意味ではなく語幹の響きのようなものに惹かれたのではないかと思えた。

それを見終わった後、お台場の中の小香港という中華料理屋が集まっている場所のひとつで遅めの昼食をとった。Oといろいろ話す。Oは携帯電話販売店で働いており、携帯電話について詳しく知っており、僕が知らないことをいろいろ知っていて面白かった。「携帯を変える時は安くしてあげるよ」と言ってくれたので、その際はお願いしたい。僕の携帯はカメラがついてない。街中でいいなと思った風景を撮っておきたいなと思うことが最近多いので、せめてカメラ付き携帯に変えようと考えている。

その他にも芝居のこともいろいろしゃべった。Oに言われて、考えることはやはり芝居をやらねばいかんなということだけれども、しかしなぁ、人集めや稽古場の確保、そして劇場をとる事など、そういうことが本当に大変だ。かといってワークショップなどや他の劇団の手伝いに行って、知り合いを増やすというのも一つの手だとは思うのだけれども、そういうのもなんだかしんどい。そういうこととは違う方法で、なんとかやっていきたい。では違う方法はなんなのかというと、それもよくわからないし。とにかくいろいろしゃべれて楽しかったものの、考えなければならぬこともいろいろ多かった。

20日(水)。台風の影響で相変わらず雨。それでも夜に品川へ。というのも大学の同期で岡山で働いているIが東京に遊びに来ており、同じく同期のHくんとHくんの会社の同僚Tくん等と飲む約束をしていたから。品川に着いた時にはどしゃ降りで電車もすでにダイヤが乱れていた。Iは結婚する約束をしている女性を連れてきた。今回、東京へ来たのもその女性を両親に紹介する目的で、式も来年の夏辺りに予定している。大学の同期が結婚する。大学の頃に一緒に勉強をして、酒を飲んで馬鹿をやっていた仲間の結婚は、なんだかなんともいえない。僕はメールでその事情は知っていたのだけれども、IはHくんには内緒にしていたらしく、Hくんは本当に驚いていた。僕はIとは大学3年からの付き合いだけれども、HくんはIと大学4年間ずっと一緒だった。Hくんの実家が大阪なので、Hくんが大阪に帰るときも、いつもIと遊んでいるほど仲がイイ。Hくんには直接会って言ってやりたかったというIの顔は本当に嬉しそうだったし、何よりHくんが一番嬉しそうだった。

楽しいお酒を飲んだ。僕は相変わらず風邪がひどかったものの、それでも本当に楽しかった。Iには幸せになってほしいもんだ。その日の帰りの電車は台風のせいで止まったりして、大変だった。なんとか電車を乗り継いで、駅に降り立ったときには雨はもうやんでいた。空を見ると、雲が晴れて、星が出ているくらいだった。フラフラ歩いて帰った。何か考えて歩いていた気もするけれども、もう忘れてしまった。楽しい日だった。