東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

まったく泣けないよ、松瀬君

■ 今日は晴天だ。やはり晴れがいい。

■ 本当は昨日、会社の人とサッカーをやるはずだったが雨のために中止になった。雨自体は午後には止んだのだけれども、中止を午前中に決めていたので、夕方になって夕焼けが見えてくるとせっかく準備してきたのにと少し恨めしくもなるが、それは仕方がない。それにしても会社でサッカーをするときに雨が降る確率がやけに高い。完全に会社に雨男がいる。

■ 最近の100円ショップはなんでも売っている。ご存知の方もいるのかもしれないが、文学作品も100円で売っている。夏目漱石芥川龍之介が100円だ。まぁブックオフなどでもそのくらいの金額で売られているが、しかし100円とは。まぁ買う側からしてみると手が出しやすいわけで、僕も今まで読んだことがなかった有島武郎と、久しぶりに「檸檬」が読みたくて梶井基次郎の本を購入した。有島武郎の「生まれいづる悩み」は名前だけ知っていたが、著者は北海道で教鞭をとっていたらしい。一緒に入っていた「カインの末裔」という作品ともども舞台は北海道。自然の風景を描く文章がやけに多いが、その一つ一つがとても丁寧だ。寂寥とした冬の北海道の描写。凍えるような土地で生きる人々。僕はどっちかというと「カインの末裔」の方が面白かった。

梶井基次郎はちょっとすごい。「檸檬」以外にも「冬の日」「城のある町にて」「ある崖上の感情」「のんきな患者」などの短編が入っているがどれも名作。梶井基次郎の家族は誰もが体が弱く、なんらかの病気にかかり、次々とこの世を去る。基次郎本人も肺尖カタルという病気に若い頃から侵されており、彼の作品にはその生活を反映してなのか、常に死がつきまとうことが宿命づけられた主人公が出てくる。死が時には重くもあり、軽くもある。いつも暗いわけではないし、かといって心の底から開放されることはない。人生の大半を病気と共に生き、31歳という若さで死んだ梶井基次郎の作品は何ともいえない読後感を味合わせる。

■ まったく関係ないけれど会社の先輩Iさんから「泣ける」映画を教えてくれと頼まれて、それならばと「ライフ・イズ・ビューティフル」を勧めてみたが「まったく泣けなかったよ、松瀬君」と文句を言われた。僕は基本的に「泣けるかどうか」という基準で映画を見ないし、むしろ宣伝で「この夏一番の感動作品」とか「全米が泣いた」とか謳う作品はむしろ避けている傾向もあるので、何を勧めていいか悩む。それにしてもよく泣くし、感動するな、全米は。とりあえずティムバートン監督の「ビッグフィッシュ」を勧めて見たが、果たしてIさんは泣けるのか。