東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

紅葉のアカを探しに

北朝鮮が渡した横田めぐみさんら拉致被害者の遺骨が偽物であるらしい。誘拐してすっとぼけて、ばれたらやっと事実を認めて、でも帰さないばかりか、その人に関する情報提供を一切拒み、もう死んだと言い張り、挙句偽物の骨を渡してごまかす。行き当たりばったり加減といい、まるで子供が悪いことをやっちゃったときのごまかし方だ。世界規模で起こっている出来事もよくよく見てみると、小学校で起こっていた問題と変わんない。けんか、いじめ。そんなもんだ。

■ 昨日の夜勤明けに六義園という日本庭園へ行く。六義園は1720年(元禄15)、徳川5代将軍綱吉から賜った土地を、側用人柳沢吉保[よしやす]が7年の歳月を費やして完成させた回遊式築山[つきやま]庭園。江戸時代を代表する日本庭園として特別名勝に指定されている。JR駒込駅から歩いて数分の場所にある。この辺の土地は何度も書くけど一歩路地へ入れば本当に静かな場所だ。新宿や渋谷とはまた別の東京。

■ どうして行ったのかというと、4月にやるつもりの芝居の映像を撮るため。一緒に芝居をやるOさんととりあえずやってみたいことをと話し合ったところ、いろいろな季節の東京の街やイベントを撮って芝居で使いたいといったことがあがり、年内に紅葉とクリスマスのイルミネーションを撮っておこうということになった。で、紅葉に関しては僕は漠然と銀杏並木を撮ればいいだろうと考えていて、銀杏並木は東京でも街路樹で使われている所が多いので撮影はどこでもできるなと気楽に構えていたら、Oさんが「紅葉なんだから紅い方がいい」と言ってきた。考えてみれば確かに銀杏は黄色だ。紅葉というにはちょっと違う。そう言われてみたら紅い方がいいなと思い、じゃあ紅いのを撮りましょうとなったのだけれども、じゃあその紅葉はどこにあるのかという話になり、東京には銀杏のような黄色はあっても紅い色がないことに気付いた。で、Oさんが調べてくれたところによると六義園で紅葉が見られるということで、そこで撮影をしようと決まった次第。予定していた日に僕が佐賀へ行ってしまったので、急遽昨日一人で撮影に出かけた。

■ 心配だったのはすでに12月に入ってしまい紅葉が終わってないかということだったのだけれども、気温が暖かい日が続いたことが幸いして、まだ落葉していなかった。楓が赤々として綺麗だった。生命力を地面から吸い上げて堂々と立つ木々に色づく紅い楓。静かな佇まいとは裏腹に、躍動している命。出来る限りその紅葉を映像に納めた。

■ そうやって庭園内を歩いていると、庭園という建築物が非常に面白いことに気づく。人の手によって作られたものだからこそ、実際の自然ではお目にかかれない遊び心に溢れている。枝垂れ桜もあれば、紅葉も色とりどりの木々がバランスよく植えてある。小さな池や川が作られて、橋がかかり、茶室がある。驚くことにちょっとした丘みたいな場所まである。至る所に絵になるポイントがくるように作られている。散歩をするだけで贅沢な自然のオイシイところを手軽に楽しめるようになっている。しかもどの季節にも楽しめるように作られている。様々な種類の木々があるのは当然だが、冬でも庭園でくつろげるように、日中の日が当る場所に茶室が作られており、天気がよければ寒さを気にすることなく一日中いれる。もちろん夏のために日が直接当らず、木々の陰に隠れるように作られている茶室もある。自然の中で涼をとれるようになっている。日中に行ったので実際のところは分からないけれども、おそらく夜になったら池の淵にある茶室からはきれいな月が眺められるように作られているのではないだろうか。一年を通じて、昼も夜もいつでもその季節に応じた楽しみがある。

■ その他にも例えば京都にある桂離宮に作られた月見台はその作られた位置や角度がちょうど中秋の頃に、一番月がきれいに見ることができる場所に作られたという。これほどユーモアで遊び心に溢れた建築が現在あるだろうか。確かに数千万円もするマンションが建てられたり、映画館も美術館も入っているエンターテイメントに溢れたビルが建てられてはいる。だけど、どこもかしこも似たような作りのものばかりだ。無論、全面的に現代の建築を批判するといったことではないにしても、かつて作られた建築物のそういった遊び心は今ではなかなか見られないのではないだろうか。

■ 夜は久し振りに芝居の稽古に町田へ。今日は青山学院大学淵野辺キャンパスの中の一室で稽古。青学恐るべし。淵野辺キャンパスがまだ開校して間もないことを差し引いても、これが学校なのかと思う立派な施設。門の前には常時警備員がいるし。稽古で使った施設のビルが丸ごと学生が自由に使えるようになっており、全ての部屋が防音でエアコン完備、ご丁寧にも各部屋にオルガンがある。しかもエレベーターもついている。畜大の学館とは比べられないのかもしれないけれども、ちょっとどうしようもないほどの差がある。うらやましいもんだ。唯一勝ったなと思うところは、その施設が使用できる時間が夜の9時までで、畜大の学館のほうが1時間長く使えることぐらいだ。しかし虚しい勝利だ。