東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

千鳥日記『全員集合』

■ 建築家の丹下健三さんが亡くなられたということを知った()。特に丹下健三さんのことを詳しく知っているわけではないし、せいぜい知っていることはこの方が東京都庁やフジテレビ社屋、代々木国立国内総合競技場などを作られた方であるというあまりにも有名なことだけ。そこでふらっと覗いた丹下さんのホームページを見ていると、建築ということについて色々考えさせられる。

■ 日本が戦後、発展していったというのは事実だけなら、当然学校の教科書で教わるようなことなわけだけど、僕達のようにすっかり経済大国になっていた日本だけしか知らない世代には焼け野原の日本は想像しがたい。当然のように目の当たりにする高度発展の象徴である超高層ビル。誰もが描く繁栄の象徴はそういう巨大な建築だ。『高度発展した』ということの証としての建築。目に残る、そういうものを作ってきたのが建築家の方なのだ。その時代の空気というものを感じ取り、それを形に残す仕事。常々思うのは建築家はアーティストだということ。ホームページには、丹下さん本人が、自分の建築物について語っているページがあり、そういうのを読むと、演劇の専門書みたいな本と似ていると思うことを語っている。小説にしても演劇にしても映画にしても、そして建築にしても、それらは吐き出された結果が違うだけで、どれもそこに携わった方が切り取ったその時代の空気感が入っている。

■ 稽古に行く前にずいぶん時間があったので有楽町のピカデリーで「エターナルサンシャイン」を観る。主演のジムキャリーはずいぶん老けたような印象だったけど、あれは髭のせいか。脚本家が「マルコヴィッチの穴」のチャーリー・カウフマンだったのだけれども、なんといいますか、こういうのを不条理な話というのだろうか。なにせ記憶を消せるというシステムがなんの説明もなく当然とある世界の話なわけで。別につまらないとは思わないけれども、ただこういった話にはもうあまり刺激を受けない。先日、シアターイメージフォーラムで観た「猟人日記」の方がずいぶん刺激的だった。それにしても水曜日はレディースデイということもあってやたらと女性が多かった。この映画の触れ込みがラブストーリーだしな。野郎1人で観るのも悪くはないけど若干居心地が悪かった。

■ 稽古は昨日書いたとおり、僕が書いた台本や他の人が持ち寄った短編を改めて読み合わせ。結局その読みあわせで僕が書いたのを含めていくつかの台本を稽古していこうという話になった。不採用もある。それは仕方がない。とにかくこうやっていろいろ決まっていく。

■ 昨日は、今まで忙しくて参加できなかった役者のAさんや舞台監督、照明、音響さんとスタッフも一同に揃った。いうなればチームが初めて集結した。そういうわけで稽古後、下高井戸のジョナサンで打ち合わせ。とはいっても、全体を取り仕切るOさんや舞台監督もしているAさんがスタッフの方と打ち合わせをして、僕や役者たちは雑談で盛り上がっていただけだった。何をしているんだか。舞台上にどういう風にパネルを組み立てるか。音響のスピーカーはどこに吊るか。照明で必要な効果はなにか。音響で必要な素材はなにか。いろいろと話し合っている。いつも思うけどスタッフさんは本当にしっかりしている。頼もしい。で、深夜1時帰宅。さすがに疲れた。