東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『乗り物にままならない』

■ 昨日、池袋で高校時代の同級生Hくんと会う。はっきりいうと今でも付き合いがある高校時代からの友人はHくんしかいない。同級生はもちろんいたけど、大学の4年間を北海道で過ごした僕は高校までの友人たちと連絡が完全に途絶えていた。今なら携帯電話で一発だけど、僕が大学1年生の頃はまだ携帯電話を持っている人はごく僅かだった。むろん僕は持っていなかった。同窓会などの連絡が実家にはあったけど、北海道にいたのでそれに気づかず、そうやって徐々に僕の高校生までのコミュニケーションは途切れていった。

■ 気づかずというよりは、結構意図的に自分で外部を遮断していたのだと思う。北海道の大学に行ったのも、その大学に行きたかったことが半分くらいで、残りの半分は埼玉のそれまで自分が住んでいた場所から離れたかったという理由があったと思う。別に友人たちが嫌いだったとかそういうことではなく、それは僕自身の問題だった。とにかく一度全てを『リセット』したい気持ちに駆られていた。まぁ今更とくに暗くなるような話ではなく、それはそうやって過ぎていったという過去の話。大学時代、そして卒業後、関東に戻ってきて、とても充実した生活を過ごしているし、その日々での出会いは僕にとってかけがいの無いもので、そういった人との出会いが今日の僕を形成してくれていると思っている。後悔は特にない。

■ そんな中でそれでもずーっと連絡を取り合っているのがHくんだ。いや、どっちかというとHくんの方から連絡をしてくれていたわけだけど。そのタイミングがかなり絶妙だ。本当に忘れた頃にメールをくれる。お互い埼玉に住んでいるけれども、頻繁に会うわけではない。それでも途切れる感じはない。僕が落ち込んでいたときも、つかずはなれずのとてもいい距離感の接し方をしてくれるメールを送ってくれる。そういうことを言うときっとHくんは謙遜するのだろうけれども、僕にはHくんの人柄が本当に心地いい。

■ 今は仕事が忙しいらしく、大変だとHくんはこぼしていた。それでも将来に向けての野望などを話してくれて、それがまた面白い。お金をできるだけ稼いで早々にリタイヤしてのんびりと過ごしたいという。海外で。学生時代からHくんはよく海外に旅行にいっており、そういう活発的な行動が僕には欠けているので話を聞くのがとても楽しい。リタイヤするためには30歳までにこのぐらい貯めておかねばならないとかそういうプランを話してくれた。『30歳に君は何してるの?』と聞かれてちょっとどきりとした。僕は確実に訪れる近い将来の展望をあまりはっきりと考えていない。漠然と『納得のいく芝居を1本作りたい』としか考えていなかった。あとは最近は新宿駅のこととかレッサーパンダが立つことしか考えていなかった。目先の面白さばかり考えている。

■ とにかくHくんと楽しい時間を過ごした。その後、電車に乗って帰ったら駅前に止めてあった自転車の前輪がパンクしていた。すでに23時。もちろん自転車屋さんなど開いていない。あきらめてそのまんま帰る。空気の入ってない自転車はホイールが地面に直接当たるのでガコンガコンと奇妙な音を言わせる。タイヤを発明した人はすごいな。なぜ空気を入れて回転させるということを思いついたのだろう。空気を利用するなんて。思うに『0』という数字を作るくらい突拍子もないことだ。だって見えないわけだから。見えないものを筒に入れて膨らますなんて。偉大だ。タイヤを発明した人は偉大だ。あとついでにパンクを直せる自転車屋さんも偉大だ。僕は自分でパンク修理が出来ない。不器用だから。だから直せる人は偉大だ。そうすると偉大な人が世界にはいっぱいいることになる。そんなことを徒然に思いながら歪な揺れ方をする自転車を漕いで家に帰った。自転車はガコンガコン言っていた。

はてなのコメントになんだかうれしいような、だらだらと生きているのを「しっかりせい」と叱咤激励されたような心持になる。失礼ながら「ちはる」というお名前にピンとくるところがないのですが、どこか未知のこの拙い日記を読んでいただいている方のお言葉、肝に銘じて日々を邁進していきます。如何せん、今は自転車がガコンガコン言っているしだいでして、跳ぼうにも実生活さえも行動がままならぬ日々であります。今しばらく僕なりに地に足をつけて、やれることをやろうと思います。ありがとうございます。

■ そういうわけで今日の朝はバスで駅に向かったのだけど、バス停でバスを待っていたら目の前の道路に停車していたBMWのフロント部分から白煙が出ていた。後ろを走っていた軽トラックのおっちゃんがBMWを運転していたおばさんに助言をしており、おばさんは白煙に驚きその場に車を止めて、誰かに電話をしていた。それを見ていた僕や他のバスを待っている人たちはただ呆然としていた。すでにバスは予定していた時間を7分くらい過ぎていたけどまだ来る気配がなかった。いろんな人がいろんな乗り物にままならないことになっていた。それでも一日は始まり、仕事はある。立ち止まってなどいられない。