東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『若松孝二と寺山修司』


■ アイドルグループの未成年飲酒のアレで、アレしてるアイドルが出演している連続ドラマがあり、本人は謹慎とかになっているがドラマではどうなっているのだろうかと思い、今週放送分が気になっていた。それを見た人の話によると「ほぼ出てないことになっていた」そうだ。完全にいなくなっているというのは設定上不可能な役回りらしく、物語の流れとして「いる」けど、とりあえず画面上に映りこまないように編集されていたらしい。会話してるはずだけど、その場にいるはずだけど画面にはいない。いるけどいない。それはちょっと見てみたかった。


■ 昨日の夜勤明け、新宿から東中野まで歩いた。都庁のある西新宿のビル街と歌舞伎町に挟まれるようにある小滝橋通りを大久保方面へ歩く。ちょっと歩くだけで新宿とはまた雰囲気の違う町並みになる。大久保はどこかアジアの異国みたいな雰囲気だ。で、北新宿の町はあっという間に住宅街だ。そういったところを歩いていると歌舞伎町や都庁などといった所の方がむしろ「特別」で、新宿も普通に人が住む街なのだと思える。新宿区と中野区との境が神田川であったのも歩いて初めて気がついた。後から人為的に作られた大きな道路ではなく、昔からそこにあった川が町を分けている。あとあの辺は坂が多い。大久保がかつて大窪だったというのも歩けば実感できる。


東中野にあるポレポレ東中野という映画館で若松孝二監督の『情事の履歴書』を観る。最新作『17歳の風景』が今月末に公開される記念に同映画館で若松孝二監督作品のレトロスペクティブがやっている。これはその1本。


■ 男に弄ばれながらも懸命に生きる女。すごい数の男に犯されちゃってる。チキンライスが好きだという挿話があるのだけど、警察に「お前はチキンライスが好きだったよな」と聞かれると「生きるために食うだけだ、ほんとは嫌いだ」と言う。明らかに強がっていると判る口ぶり。だけどそうやって言葉にして、生きていくしか道が無い。それでも強く歩いて、夜の街に消えていく。ひたすら、懸命。主演の千草みどりさんはとっても色気のある人だ。なんだか実写版の峰不二子みたい。


寺山修司『書を捨てよ、町へ出よう』(角川文庫)読了。どうやって生きることがかっこいいのかを、実にクールに語っている。ただただかっこいい。

『速くなければならぬ、と私は思っていた。
 あらゆる文明の権力から、自らを守るためには速度が必要なのだ。』

  その速さで見ていた風景とはどんなものだったんだろう。