東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『駄目な日記』

■ 東京は突然雨が降って、ひんやりとした空気になり、Tシャツではむしろ肌寒く感じた。雨は今夜一杯続くようだ。9月11日。衆議院選挙。雨のせいでせっかく好調だった投票率が伸び悩んだら残念だなぁとか思うけど、それもまたタイミングというものか。いずれにせよ今夜中には体勢が決まるらしい。僕は、投票自体は土曜のうちに行ったけれども、まぁどうなるのか。選挙一色だけど、今日はニューヨークのあの事件から4年目でもある。そんな一日。


■ 9日(金)。仕事後、川崎に友人が出ている芝居を観にいく。当日パンフレットによると友人が参加している劇団の主宰の方は、芝居をやるために川崎の劇場をまるごと購入したとのこと。それを手に入れるためにお金などいろいろなものを失ったけど、その代わり得るものもいっぱいあったと書いていた。ちょうど、大学時代に帯広にいた頃にお世話になった劇団の方から郵便物があり、それが劇団創設30周年記念に作られた冊子で、劇団30年間の歩みが綴ってあったのを目にしており、その劇団の主宰の方も30年前に劇団を立ち上げて、やがて仕事を辞めて自営で喫茶店を開き、芝居をやり易い環境に自分を置いていたことなどが書かれてあった。


■ 例えば芝居を上演すれば、チケットはすぐに完売して、芝居ばかりでなくテレビでも脚本家として人気があり、一躍有名になるとかいうものに憧れがないわけではなく、かつてそういったものになることを夢見て演劇の学校に行っていたわけで、今でもそういったものに一縷の望みを持ちながら派遣社員などといった不安定な仕事をしている自分がいる。大学時代、仕事をやりながら年に2,3回のスタンスで芝居をやっていたその劇団の方々を観ていると、僕はなんだかもっとでっかくやりたいなぁと思っていた。でも、今は少し考え方が変わった。一つの芝居をきちんと作ることにやりがいを感じる。それは芝居に関わることそれ自体に悦びがあるように思える。だから川崎のその劇団の方や、帯広の劇団のスタンスが、それはそれでまた一つの道のようにも思えるし、いいもんだなぁと思う。


■ しかし、だ。目の前にある自分の状態と理想の状態に食い違いというか、はっきりしない部分があり、それは自分でもある程度気づいてる。今の状態が一生続くことなどあるはずなく、差し当たり確実に2年後には仕事を強制的にやめさせられる環境にあるのもまた事実。一つ一つ目の前のことをきちっとやりたいと思いながら、いろいろ企ててもいるが、裏を返せば日々をそれなりの忙しさに埋没させて、そういった先のことを棚に上げて見て見ぬふりしているというのもわかっている。親兄弟は(もちろん善意から)お前は将来を考えてないぞと言ってくるわけで、そう言われてしまうとぐうの音もでない。別にフェラーリを乗り回すとか、高級マンションに住みてぇとか高望みした生活をしたいわけじゃないし、地味な生活でもいいからただ芝居をやったり、日々いろんなことを考えていたりしながら生きれたらいいなぁとか思うけれども、将来の安定した日々を約束する為に今をきっちり生きなきゃならんぞと内から外からと急かす声があり、どっかでその声に耳を傾けている自分もいる。どうしたもんかと思う自分がいる。うーん、自分の中でいろんなものが分裂している。


■ 10日(土)。町田で3月の芝居のプレ稽古。なんでか知らんけど稽古で舞い上がる。緊張してんのか、台詞も動作もやけに速くなるし、何かと照れて吹きだして笑ってしまい、芝居をいちいち止めてしまう。言われたこともきちんと出来ずで、猛烈に反省する。俺が演出家ならやりづれぇ役者の筆頭に挙げる。役者が照れてどうするんだ。しかし、照れる。もう、なんか、役者をやること自体に恥ずかしさを感じてしまう。つまるところ自分の役者としての資質に自信がないんだろう。


■ なにぶん、僕は身体が硬く、肩幅がひろいせいで、余計な威圧感がある。発声があまりよくないくせに、台詞は早いので聞き取りずらい。で、一番自分で自分が嫌なのが暑がりで芝居中に汗をかくことだ。おまけに顔は真っ赤になる。自分のことながらなんか暑苦しくて嫌だよ。そういったところを利点に感じてくれる人もいるんだろうけど、僕は自分自身にブレーキをかけてしまっているから、役者として勢いがない。欠点さえも気にせずにアクセルを踏んでいる役者は魅力的だけど、ブレーキを踏んでいる役者は観ていて魅力がない。自信のなさを照れてごまかしているような役者を見たくてお客さんは劇場に足を運ぶんじゃないし。ブレーキ踏むくらいなら舞台に立たなきゃいいと思う。まさに、それが俺に当てはまっていた。情けなさすぎて涙もでねぇ。なんだか、そういったっことを勝手に思い知って、勝手にやられる。


■ ここまで書いておいてなんだけど、なんだ、この暗い日記は。自分でも驚くよ、これ。で、書いたら書いたで、いや書かなくたって割りとそんなに落ち込んでいるわけではなく、実際、今も横でテレビは「平成教育予備校」ついてるし。仕事中だし。「ヨクデキマシタヨクデキマシタ」って高い声の人が言ってるし。けっこう浅いところで考えるのをやめてしまっているから、あまり進歩しねぇんだな。まぁこういう気分も雨と寒さのせいだ、きっとそうだ。