東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『東京の果てDVD』

■ 3日(金)。節分。特にそれらしい行事はしないまま終わった。日中はとても暖かかったのに夕方から急激に冷え込んできた。芝居の稽古が終わって自転車で家に向かうとき、とても寒かった。こういった寒さが落ち着くのはそれこそ芝居が終わる頃だろうか。稽古の間はずっと寒い日が続くだろうから健康管理だけは気をつけないといけない。


■ 井関さんが『東京の果て』の公演の映像を収めたDVDを作って配ってくれた。井関さんの知り合いの方が本番の公演をビデオで撮影してくれたのだ。本当に有難いことです。僕はいろいろきっかけの指示などやることがあって本番を落ち着いて見られなかったので、ある意味じっくり本番の舞台を観れた。


■ 良し悪しではなくて、こういう風になっていたのかと初めて判ったシーンもチラホラあった。とにかく映像に映っているものは紛れもなく1月15日に六本木EDGEで行われた「事実」に違いないわけで、このDVDを見た演者の人たちもきっとそれぞれに思うところがあるのだと思う。ただ、DVDを見るにあたって一つ理解しておいてもらいたいことは、この映像は確かに「事実」ではあるけど、「真実」とはまた少し違うということだ。映像はどうしても平面的になってしまう。実際にその場にいれば、舞台上に演者がいて、声が耳に直接届き、音楽がスピーカーから響いてくる。映像はその場の空気までは伝えられない。「事実」は記録として残せるけど、「真実」はあの日あの場所にしか存在しない。きっと残すことが出来ないそういった一回性というものが舞台表現の一つの魅力なのだろうし。


■ それでもこうやって公演の記録が残るのは貴重だ。特に井関さんが作ってくれたDVDはタイトル画面やチャプターがいろいろ凝っていてなんだかすごい。カメラも表情がはっきり判るくらいアップで寄ってくれているので見やすいし。井関さんと当日撮影をして頂いた井関さんの知り合いの方には本当に感謝です。それにしても稽古中には写真をとりまくり、本番当日にポストカードを用意し、さらにはこうやってDVDまで製作してもらって、本当に井関さんには助けてもらったり、驚かされたりな公演でした。


植田正治著 『植田正治 私の写真作法』(阪急コミュニケーションズ)読了。

 『ファインダーに目を押し当てて、大自然のなかにのめり込んだとき、押し寄せる波涛は、遥か水平の彼方から私の心の中にまでひたひたと押し寄せてきます。流れ去る白い雲は、大気の輝きを伝えて、私は私だけの世界に佇むことができるのです。
  人物に対してだって、対話はすべてファインダーの中にあるのです。裸眼レンズから目をはずすまでは、私だけの世界で、話ができるなんて、写真する幸せみたいなものがファインダーの中に棲みこんでいるということを、いまさらのように実感として感じるようになりました。』

『写真する喜び』をいつも忘れない植田さんの思いが文章からも溢れていた。