東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『ブレイブストーリー』

切り株

■ 夕方、電車で大崎駅を通過するあたりで音楽が聞こえてきた。『夕焼け小焼け』だった。時間は夕方の17時。子供が家に帰る時間。地元で聞くそれはなんでもないんだけど、別の場所で聞くそれはなんだか感慨深く響いてくる。どこにも、その町に暮らす人がいると改めて実感する。


 『夕焼け小焼けで 日が暮れて
  山のお寺の 鐘が鳴る
  お手々つないで みな帰ろう
  からすといっしょに かえりましょ』

  
  しみじみする歌詞だけど、ふと思ったが夕焼けはともかく小焼けってなんだろう。意味を調べると『「夕焼け」と語調をそろえていう語』とあり、それはつまり韻をふんでるとかそういうことなのか。まぁいろいろありますな。


■ 『ブレイブストーリー』というアニメーション映画の試写を観た。登場人物の行動はそのどれもに何かしらの意味があり、逐一言葉としてきちんと語られる。丁寧と言えば丁寧なんだろうけど、それがどうもうるさくも感じられた。ちょうど読んでいる別役実さんの『ベケットといじめ』から引用。


『言葉を通じての回路は、観念的な全体像を確かめることができるけれども、それは言葉そのものの性格に従って、ありきたりなイメージになる。』

キャラクターの行為から、言葉で語られた目的や意味を取り除いていくとどうも何も残らない。言葉で解読できない人間性がそれぞれのキャラクターに薄いのではないか。どう言葉から離れていくか。そして何を語るか。


   ところで映画の最後に『in memory of 別所孝治』のクレジットが出てきた。全然詳しい功績なんて知らないけど、子供の頃、アニメを見るといつもスタッフロールの最後にたくさんその名前を見かけた。それだけでなんだかすごい人なんだろうなと思った。