東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『是夢』

tokyomoon2009-02-27

■僕は岩手に住んでいる。海岸沿いの断崖絶壁のようなかなり傾斜のある場所に、住宅が数軒あり、そこの一番上のところに建っている借家に、妻と猫と暮らしている。

そこが岩手のどこなのか漠然として判らない。僕自身、岩手に行ったことが無いので地理がよく判らないのだけど、ともかくそこが岩手であることは間違いないらしい。

あと、その岩手は、東京に電車一本で行けるところにあるらしく、僕の仕事場は今と変わらず東京で、毎朝電車に乗って岩手〜東京間を通っているらしい。その岩手はそこそこ東京から近く、終電も結構遅い時間まであり、僕は岩手からの通勤に苦しむことなく日々を送っている。

やけに早い時間に目が覚めた僕は、トイレに行こうと思ったのだけど、トイレには行かず、なぜか玄関から外へ出た。扉を開けて外を見ると、朝焼けに照らされる海が広がっている。漁をしている船がいくつか海に浮かんでいる。空と海の境界線がオレンジ色に染まっている。こんな風景を見れるのならば、朝早く起きるのも悪くないので、これからはたまに早く起きようと僕は思った。

それからトイレへ。家の中のトイレには行かず、なぜか外にあるトイレに行こうと思い、つっかけを履いて外へ出る。外のトイレはこの家に引っ越してから一度も使ったことがない。トイレの中はやけに広い。ちょっとした食堂くらいある。便座は扉から一番奥のところにあり、他のスペースは何も置いてない。無駄に広い。
それまではなんでこんなに広いのかよく判らなかったのだけど、小便をしながら、そこが馬の屠殺場も兼ねているということが突然判る。それでここが広いということを納得する。なので僕は小便が終わると、床もきちんと汚れを取らないといけないと考え、ホースで水をまく。床に付いていた汚れが汚水となって排水溝に吸い込まれていく。

部屋に戻ると、妻が家に対してなんがしかの不満を抱き、憤慨している。それでこれは大家に言わなくてはならないと家を飛び出していった。残された僕は猫と妻を待つことにした。猫は部屋の中でにゃあにゃあ言っている。

しばらくすると妻が戻ってきた。一緒に大家と、大家と僕らの仲介をしてくれた不動産屋の人が数名が入ってきた。妻の不満を聞いた大家が、とりあえず話しがややこしいので一度、家の中を自分が住んでいた頃の感じに戻そうと提案したらしく、不動産屋の人たちが家具を持ち込んで、あれやこれやし始める。
元々、猫を飼うことが禁止の物件だったので僕は大家に猫がばれないかと冷や冷やし、猫を慌てて大家の目につかないところに隠す。不動産屋も猫のことが気になったらしく、荷物を搬入する合間をぬって、猫のトイレの中にある糞や尿を、大家に気付かれないように丁寧にスコップで砂をかけていた。砂をかけるのだけど、トイレ自体は置いていた場所に戻すので、そもそもトイレを一度隠せばいいじゃないかと僕は思うのだけど、自分ではトイレを隠すことはしない。
家の内装がすっかり様変わりしてしまった。大家はリビングの壁に大きく「◯○○、八十二歳 永眠」とマジックで書いた。それはさすがにアレだったらしく不動産屋が大家に怒ると、大家はそれを雑巾かなんかで拭いた。文字はうっすらと壁に残った。◯○○の文字は忘れて思い出せない。

どうやら妻の不満は解消されたらしく、不動産屋の「では、そういうことで」という言葉をもって大家と不動産屋は家を出て行った。幸いなことに猫のことは大家には気付かれなかった。

僕はそこで、岩手の家の他に東京の板橋にも家を借りていたことを思い出し、そこの家賃を一切払ってないことに気付いた。家賃を払ってないことが気になって仕方が無く、やきもきしていると、そこで目が覚めた。

いつも、夢を見ることはあってもそれを覚えていることはほとんどない。漠然と嫌な気分の夢だったとか、幸せな夢だったとかはあるのだけど。これほど鮮明にいろいろなことを覚えている夢は稀、というかほぼ初めて。なのでそれを記録してみる。


■寒い日が続く。水分を多く含んだ雪が降っている。