東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『下鴨車窓』

tokyomoon2009-03-02

■28日(土)。駒場アゴラ劇場で下鴨車窓という劇団の『書庫』という芝居を観劇。

どうやら戦争が行なわれているらしい国の図書館の、地下奥深くにある書庫を舞台にした話。チラシを読んで勝手に想像していたイメージよりも、ずっと物語が存在する作品だった。

戦火を逃れる為に、館長の指示で書庫から次々と本が運び出されて行ってしまう。書庫の司書をつとめる老人はある出来事をきっかけに、被災した民家から書物を盗み出す行為にのめり込んでゆく。
勉強の名目で書庫を訪れる学生は、そこで本を借りたり、教師との密かな逢瀬を楽しむ。館長からの絶対である指令を伝えにやってくる庶務は、司書夫婦が飼っていた鳥を奪って行ってしまう。
薄暗い書庫は、地上の光も届かないような深い地下にあるが、そこも外部からの干渉は逃れられない。老人の妻である老婆がしきりに洗濯物のことを気にするのは、洗濯物が『生活』の象徴であるからではないか。諸々の介入からそれを奪われないために老婦は声に出し続けているように思えた。

客入れの時、BGMは使われず本当に微かな音量で、たまに水滴が落ちるSEが入った。公演の前は当日パンフレットを見ないで、舞台をぼんやり観るのが、なんとなく自分の観劇スタイルになっているので、あの静けさと、舞台装置は個人的にすごく好きでした。役者の方々はとても上手だったと思うのだけど、司書を勤める老夫婦の配役に関して、あれは出演者が決まっていた上での台本だったのか、台本を書いてから役者を探したのかが気になった。考えさせられるところが多く、久しぶりにじっくりと堪能できる作品を観れた気がする。


■3月1日(日)。諸々あり、西伊豆の方に行っていた。それである施設に行ったらこの注意書き。



以前、別の場所で『その筋の達の入館はご遠慮させて頂いております』といった看板は見たことがあったけど、今や『それ風』だけでも何かと許されない時代になってしまったか。世知辛い時代やで。それにしてもヤクザ風とはどこを見て判断するのか。

魚の美味しい場所に行くと、そこで暮らしたくなる。