東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『連休の日々』

2日(土)。夜12時を過ぎたあたりで携帯の着信に気付く。2人の友人から。電話をかけると新宿のカラオケ店にいるから唄いにくればいいじゃないと言われる。明日、早朝から山形へ行くのだよというと「新宿から直で行けばいいじゃない」と言われる。行けなかないけど、と思いつつも心にブレーキがかかる。老いた。申し訳ないと思いつつ「今日は行かないのです」と断って就寝。



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3日(日)。朝5時に起きて、大宮へ。新幹線にて嫁Mの実家山形は新庄へ。新庄は山形新幹線の終着駅なので、行き来は非常に楽。新庄のババは、ここ数年、めっきり忘れっぽくなっている。我が家に猫が2匹いることは前から知っているはずだが、猫のことを話すと「に、二匹もかぁ」と驚いていた。

新庄駅で岡山にも一緒に行ったS氏が待っていてくれ、車で秋田へ連れてってもらった。ドライブドライブ。新庄から秋田は思っていたよりも近い。名前だけ知っていた稲庭の地でうどんを食したり、泥湯温泉で泥にまみれたり、地獄に連れてってもらったりした。地獄はどうやら秋田のその土地に136個くらいあるらしい。天国もあるらしい。地獄に関しては、地図に詳細な場所まで示されていたり案内標識があったりといたれりつくせりだったけど、天国の説明はざっくりとしていて場所もよく判らなかった。


地獄の入口



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4日(月)。嫁Mのパパさんママさんに山へ連れて行ってもらう。ハイキングとかキャンプとかそういったアレではなく、山菜を採るという目的のもと、渓流や薮へ向かう。スニーカーでは太刀打ちできないので、長靴を購入。通常は27.5センチの靴を履いている私だけど、長靴は25.5センチでピタリ。なぜ。

タケノコや、ウド、その他にもいろいろな山菜を採る。二輪草のすぐそこにトリカブトがあり、言われて初めて違いを認識できる。僕だけなら二輪草と勘違いして、トリカブトを採って残念な事態になってしまうだろう。キャンプとかそういった類いで山と接するのとは異なり、生活と地続きに山がある。だから、僕が水田の畝から出ている土筆を見つけて「土筆だぁ、土筆だぁ」と1人騒いでいたところでも、彼らはそんな土筆には目もくれずタケノコを採っていた。

家に戻ってから、収穫した山菜の、皮や葉など要らない部分を取り除く作業。収穫したら、その分、やらなくてはいけない仕事がある。その作業を手伝ってくれたババが、5分おきに「これはいつ採って来たのけ?」と尋ねてくるので、僕はその度に「今日ですよ」と答えた。

塩揉みやみそ汁として、その日の夜にそれらの食材が並ぶ。それは、さすがに、美味しかった。

山形は涼しかった。ところによってはまだ雪が残っており、天気予報でもなだれ注意報がでていた。桜も咲いていた。日本はやはり広い。僕のいる「ここ」だけではないのだ。東京に戻ったら、雨だった。


土筆



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6日(水)。引続き、雨。新宿へ。『GOEMON』を観る。観終わってやけに疲れた。すごく情報量が多い作品。家に帰って、別の作品が観たくなり、小栗康平監督の『眠る男』を観る。この作品も目に飛び込んでくるものはすごく多い。ただ、それらは『GOEMON』とは別の種類のもののように僕には思う。CGはそれはそれで良いと思う。ピクサーの作品は好きだし、トランスフォーマーもすごいと思う。CGを否定することに意味はないと思う。一つの技術。映画にそれを採択するかしないかは製作側の判断。画つくりには意図されない部分は存在しない、はず。それは『眠る男』のメイキングを観てもはっきりしている。どれほどの意図が1CUTを撮る為に注ぎ込まれているか。木の葉の揺れ方一つにも意図がある。小栗監督の作品はセットでの撮影も多い。僕の好きなロイ・アンダーソンも大半をセットを組んで撮影する。セットかCGか。それは手法の選択でしかない。

結果として、出現するフィルムの、そこに焼き付いている情報が、どのようなものか。『GOEMON』も『眠る男』もとてもたくさんのものがそこにはあった。『眠る男』のそれは、ただ、そこに在り、それをどう捉えるかは観る側に委ねているように思え、『GOEMON』のそれは大半のもののベクトルがこちら側に向いているように思えた。僕には、『眠る男』のように、ただ、そこに在る方が心地よく思える。

というわけで連休、終了。


舌を出したまま、寝る猫