東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『山口に行きたい』

佐藤真さんの作品をまとめたDVD-BOXと河瀬直美さんのドキュメンタリー映画をまとめたDVD-BOXが届いた。買ってしまった。以前からamazonで目をつけていたけど、耐えていた。クリックしなかった。金がね、あれで。だけど、『妻の貌』や『花と兵隊』といったドキュメンタリーに触れ、耐えきれなくなってしまった。amazonで商品解説を読んでいたら我慢出来なくなった。クリックしちまった。佐藤真さんの作品はずっと観たかった。河瀬直美さんのDVDはamazonにお薦めされてしまった。買っちまうさ、お薦めされたら。なにせ観たかったから。というわけでDVD-BOXが2つも増えるとなかなかに圧巻のボリュームで棚を占めるけれど、宝物が増えた気分でホクホクとする。




松田正隆さんが主宰をされているマレビトの会の新作『PARK CITY』が観たい。広島という都市を公園という視点から見つめた作品だという本作。写真家でこの作品でコラボレーションする笹岡啓子さんと松田正隆さんの対談がホームページに掲載されており、それを読んでこれはどうしても観たいと思えてきた。空虚な場所を内包しつつ、都市として成立している場所として広島があるとして、もう一つそのような都市がこの国にはあり、僕はそこにいる。前作『声紋都市』において長崎の町と父性について考えながら、ひいてはこの国の構造を捉えた作品を作り上げたところから想像するに、この作品もまた広島を題材とし、そこからこの国の構造を見つめる作品になるのではないか。『平和』の象徴として空虚な場所を抱える広島があるならば、この国の象徴として空虚な中心を抱える東京は、どこかでつながっている。残念ながらこの公演、今のところ東京での上演予定がない。10月に滋賀での公演があるらしいけど、10月に俺が何をしているのかよく判らない。ならば山口で芝居を観つつ、広島に立ち寄ってその公園を見てこようと思った。
対談を読んで、真っ先に思い出したのが、ちょっと前に見せてもらった友人のおさむんが撮ったという写真。公園をベビーカーを押しながら歩く母親の写真。逆光の中を歩く母親の姿が、まるで光の中を進んでいるような印象を与える写真。広島という都市を「戦争」「平和」というキーワード無しで捉えることはなかなかに難しい。だからとても遠い都市だった。どういうスタンスでその都市に行っていいのか判らなかった。あと、まぁ、「戦争」や「平和」というキーワードを踏まえてでしか広島に行けないというのが煩わしかった。だから対談で「戦争」や「平和」とは別に、公園都市として広島を捉える考え方が印象に残った。公園というキーワード以上に、もっと別のところで、おさむんの写真から受けた印象と、公園都市として広島を見つめるという考え方が似ていると思えた。そこに広島をきちんと捉え直すヒントがあるように思えた。だからこそ、この『PARK CITY』に触れて、それで僕はやっと広島という都市ときちんと向き合えると思えた。だから広島の公園にも絶対に行かねばならない。

そういうわけで『PARK CITYを山口で観て、広島の公園に行こうツアー』を勝手にやることに決めた。車で行く、予定。飛行機と新幹線は、金がアレなのでアレとして。何時間かかるかよく判らないけど、まぁ、辿り着くことはできるはずで、その辺りの諸問題はこれからざっくりと検討しつつ。