東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『盆の空に龍が1匹』

15日(土)。目が覚めて天気予報を見ようと思いテレビをつけると『007カジノロワイヤル』のクライマックスが放送されており、いきなり主人公の愛する女性が死ぬところだった。寝起きに007のクライマックスはパンチが効いている。


諸々あって妻の職場のあるお台場へ。お台場一帯で大きなイベントがあり人がやけにいる。妻の職場はビルの11Fにあるので、その人の波を見下ろす形で少々仕事の手伝い等をする。家に帰る間際に等身大ガンダムを見るのを忘れたことに気付く。まぁ、見なくてもいいのだけど。


帰ってから少し仮眠。それから池袋のメトロポリタンにある豆腐料理屋へ。湯葉や生麩、豆腐刺しなどを食す。途中で出てきた生麩の天ぷらが、これまたとてもうまかった。締めに出てきた米の炊き加減も素晴らしく、幸せな気分になる。


職場の人から借りたヨーロッパ企画のDVD『あんなにやさしかったゴーレム』を観る。本編より長い特典映像。至る所で遊びを感じて、それが楽しい。


16日(日)。目覚めたら昼。寝過ぎ。気を取り直して家の掃除に取りかかる。台所、トイレ、風呂場、各部屋を掃除機と水拭き。布団やタオルも干す。快晴ですごく暑かったのだけど、湿度も低く爽快な暑さ。至る所の窓を開けてクーラーもつけずに汗だくで作業。それが気持ち良い。猫も無防備に寝る。


掃除を終えてから、昼飯を食べようと米を炊く。昨日の米の味が忘れられず、いかにしたら米がおいしく炊けるかを思案し、ためしにすすいで30分程おいた炊飯ジャーに塩をひとふりして、細かく切った椎茸を少々いれて炊く。結果は、まぁ、劇的と言う程ではない。水加減と米の品種にもよるのか。要研究。


佐藤真監督の作品『SELF AND OTHERS』を観る。写真家である牛腸茂雄さんのドキュメンタリー。ドキュメンタリーといっても牛腸さんの来歴を探るとかそういうことではなく、彼の育った土地、暮らした町をカメラで撮影したり、彼の撮った写真や映像を映しつつ、彼が家族に当てた手紙を朗読したり、彼の残した肉声を流すという形で綴られる作品。そういう風な立ち位置が本当に良い。カメラマンである田村正毅さんの切り取る画も良い。中上健次のドキュメンタリー『路地へ』の時も感じたけど、日の光の当たる風景が本当に素敵に見えてくる。50数分の作品だけど、観終わったらすごくぐったりした。心地いい疲れ。それで、なんとなく落ち着かなくなり、夕方に外へ出て街を歩く。


鬼子母神さんの大公孫樹を見て、参道を鬼子母神の駅の方へ。それからなんとなく住宅街を歩くといつの間にかに目白通り不忍通りが交差する場所へ出る。坂の向こうは新宿のビルが見える。坂を下り、目白の住宅街を歩く。それでまた明治通りにぶつかる。明治通りを横切って学習院下まで歩く。お盆と言うことも相まっていつもの夕方よりもなにかひっそりとしているような印象の路地。それからまた坂道を上るかたちで目白駅に出る。住宅街を歩いていると、後ろから子供の声。
「龍の口みたい」
「歯がある」
「でも、羽はないよ」
「龍に羽ないだろ」という声。
なんのことかと思ったけど、よくよく聞くと彼らは空を見上げ、龍の形のする雲を見つけたらしい。龍に見えなくもない雲一つ。なんだかもう夏が終わる様な空。

そういえば、今年はまだ入道雲をみていない。
そんな日曜。