東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『猫がいなくなる』

tokyomoon2009-09-06

飼っている猫のうち、雌猫の『けだま』がいなくなったことに気付いたのは9月4日(金)の早朝だった。
前日といってももう朝の5時をまわったあたりに、仕事の諸々で飲んで帰った僕は、ぼんやりしたまま玄関を開けて部屋に入った。そこに寝ている嫁Mともう一匹の猫、雄の『みずれ』しかおらず、でも、その時はまだ家の中のどこかにいるのだろうと漠然と思っており、疲れもあって横になってしまった。1時間程して、目が覚めて、やはりおかしいと思って家の中を探して、『けだま』の姿がないことに気付き、先日、半開きのドアから逃げた時のように、外にいるかと思い、家の周りを探したけれど『けだま』はいなかった。

先日、半開きのドアから逃げ出した時は、原因がはっきりと判っていたけど、今回に関してはどのタイミングで家の外にでたのかはっきりと判らない。無事に見つかったけど、先日外に出た時に、抜け出す『味』のようなものを思い出してしまったのかもしれない。今の家に引っ越してきてからは約1年程、外に出ることはなかった『けだま』だけど、以前の板橋の家ではことあるごとに家から抜け出した。それでも、24時間くらいでなんとなく戻ってきていた。今回は、かれこれ2日ほど経つが帰ってくる気配がない。

ことあるごとに家の周りを歩いている。写真入りのビラを作り、近所の人に挨拶をして渡したり、ポストに投函した。許可を取った訳ではないけれど、電信柱にも貼った。家から一番近い交番にも事情を話してきた。しかし、まだ見つかってない。もちろん、諦めるには早すぎるけれど、個人的な経験として、ここまで見つからなかったことがなかったので、どうしたらいいのか判らず途方に暮れている。なによりも堪えているのは、情報がないことだ。どこでどうしているのかまったく判らない。家の中で飼っていた猫なので、当然土地勘などはないだろう。近くをあるけば野良と思われる猫も何匹かいる。縄張りのようなものもあるだろうから、決して安穏とできるわけではないだろう。餌はどうしているのか。水くらい飲んでいるのか。何もかもが憶測でしか量れないことが辛い。もちろん、帰ってきてくれるのが一番だけど、この際、どこの誰の元でも構わないから、とにかく餌を食べ、水を飲む等、最低限の生きる糧を得ることができていればいい。ひとまず玄関脇に餌缶を開けて置いておいたがまったく手をつけた跡がない。そして蟻がたかってしまったので、やむなく捨てた。

けだまのことばかり考えていることは出来ないけれど、何か折りに触れ思い出されて、その度にどうにも心がざわつく。今日、人と新宿で会って帰る途中、半生タイプの猫缶ではなく、ドライタイプのキャットフードを玄関前に置いておこうと思いつき、家に戻ると、既にドライタイプの餌が玄関前においてあった。嫁Mが置いてくれていた。玄関の脇の、地面に近いあたりに黄色い小さい紙が貼ってあった。なにかと思って裏をめくるとそこには文字が書かれていた。

『まつとし聞かばいま帰りこむ』

百人一首の一句の下の句。猫が帰ってくるというまじないとしてもあるらしい。帰ってきて欲しいのはやまやまだけど、とにかく、無事であってほしい。