東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『お母さん、俺、かかっちゃったよ』

夜遅くに悪いなぁと思いつつも、用があって母に電話をかけたのは、一昨日の23時過ぎで、コール2つほどですぐに母は受話器を取った。すると、どうも母の様子がおかしい。なにか、心配をされているような口ぶりで「さっきも、電話をしてきたよね」と聞いてくる。当然、電話はかけてない。

僕が電話をかける少し前に、息子だという男から電話があったのだという。そのうえ、そいつは、マイコプラズマ肺炎にかかったと言い、母に金を要求したのだという。いわゆる、振り込め詐欺というやつだ。
「いや、おかしいとは思ったのよ。全然、話し方が違うし。声も違うし。そしたら、体調が悪いからっていうから、会社全体にマイコプラズマ肺炎が蔓延して、それで自分も感染したとかいうから、でも、おかしいとは思ったんだけどね」
と、言いながら、母は、さらにこう言う。
「結局、30分くらい話しちゃったのよ。」

幸いなのは、金を振り込むに至らなかったということだが、それにしても何をしているのだ、母よ。こうやって聞けば笑い話だけど、まぁ、ある意味では心配されているってことで、それは有り難い話しであり、そういった親の子に対する気持ちに付け入る、糞バカな詐欺行為には反吐がでる思いだが、おそらく母と噛み合ない会話を30分も続けた結果、得る物がなにもなかったことを想像するに、ざまあみやがれという気持ちもある。

それにしても、人は、まさかと思う様なことも、まさかであるが故に、信じてしまうことがあるのかもしれない。これで、俺が実際に、マイコプラズマ肺炎にかかるようなことがあったら、どのように母に連絡をすればいいのか。よもや疑われないだろうか。