東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『鳩にカレーをやる/音連れ』

朝。目覚めたらやけに寒い。布団から出るのがやや億劫になる。


娘子は目覚めると、開口一番「ピングー」と言う。ひとまず「いないいないばぁ」「見いつけた」「おかあさんといっしょ」などをつけてみるが、しばらくすると「ピングー」を要求してくる。もはやどの番組も敵わない。一時の熱だとは思いつつも、テレビをつけちゃあピングー、テレビを消しててもピングーなのでやや先行きは不安。


世間では東京マラソンが盛り上がりをみせていたが、そこからはずいぶん離れて過ごす。昼食後、鬼子母神まで娘子と2人で散歩。入口付近で立ち止まり、嫁氏がいないのでややぐずっていると、少し年上と思われる女の子がお父さんと通り過ぎていった。とても元気そうな女の子。と、踵を返してこちらにやってくる。なぜか娘子が気になるようで「一緒に遊ぼう」と誘ってくれた。お父さんに聞くと3歳だという。


少しばかり戸惑っていた娘子。が、女の子は遠慮なく娘子の手をひっぱりあっちゃこっちゃ連れ回す。で、少し慣れてきた娘子が滑り台を滑ろうと誘うと「砂遊びする!」と砂遊びを始める。また、娘子が公園の鳩を追いかけていると「私の鳩だよ!」と追いかける娘を制止して自分が追いかけ始める。と思いきや、「一緒に砂遊びしよう」と誘ってくれるのだけど、女の子が持っている砂遊びアイテム(スコップ、バケツ)を持とうとすると「あ、それ、私のだからだめー」と言う。悪意は無く、面倒みようとする部分と自分がやりたいことをやりたい部分のバランスがグラグラしているのだと思う。それにやや翻弄されがちな娘子とのやりとりが面白い。これぞ、他者との出会いだろう。


で、女の子は砂でパンを作っているらしく「鳩にあげるんだ!」と楽しそう。パンに飽きると、砂をバケツにいれてかき混ぜ始め「カレーだよ!鳩にあげるんだ!」と言う。野菜や肉は、銀杏の枯れ葉。娘子も枯れ葉を入れて、砂カレーを混ぜる。完成したらしく、そのバケツを鳩に向かって持って走り「カレーだよー!」と叫ぶが、まぁ、鳩は逃げる。うん、とっても面白い。遊びは無限大だ。


録画していたETV特集 坂本龍一 フォレストシンフォニー 森の生命の交響曲を観る。樹木が発する微弱の生体電位から音楽を作ろうとする試み。樹木の生きる鼓動が音になる。坂本龍一さん自身も言及しているけれど、この世界は様々な音で溢れていて、それは音楽になりえる。世界は見えるモノだけで成り立っているわけではない。かつて、人はもっと聴覚でモノをみていた。何かを告げる「訪れ」も、本来的には音から始まる、『音連れ』だったという。これは目が覚める言葉だった。

もっと世界に溢れる『音』に耳を傾けようと思った。