東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『連休の日々』

3日(土)。仕事で名古屋へ行く。始発の新幹線に乗る予定だったのでかなり早起きをする必要があり、なんだか眠れない感じでもあったので寝ずに出発しようと思い、夜は録画していた黒澤明監督の『乱』を観る。なんにせよ、豪勢な映像。ロケ地が広大だし、馬や出演者もたくさんいる。衣装が煌びやか。そういうところを観ているだけでも愉しい。最後、夕景の葬列のようなシーンはその佇まいが良かった。あと、戦のシーン、戦死して馬から落馬する人たちがやたらと映っていたけど、そういえば戦争ものといえば、落馬だ。ひたすら落馬が描かれる。落ちる。落ちまくる。そういう画を繰り返し観ることで、何かちょっとしたクラクラとした気分になったのだけど、それはきっと徹夜で観ていたせいもあったと思う。


4時過ぎに家をでて、護国寺駅まで歩く。少し早くでてきたので、護国寺に参る。それから始発の電車に乗る。人っ子一人いない駅のプラットホーム。でも、電車には人が乗っていた。東京駅までいると驚くほど人がいて、新幹線改札は長蛇の列。自由席を求める人たちだろう。僕は有り難いことに、指定席をとってもらっていたので座れたけれど、車内は満席で立っている人たちがたくさんいた。ゴールデンウィークらしい風景。


名古屋には、1時間半ほどで到着。あっという間。目的地まで地図を見ると近いんじゃないかと思えたので歩いて向かうことにした。人もまばらなアーケード。考えてみれば朝の7時半頃なので、人も少なかろう。名古屋の町は碁盤目になっていて、一筋一筋、通りに名前がある。こうやって初めて歩く場所でもある程度、地図を見れば把握して歩けるのは有り難い。チェーン店なんてどこにもであるわけで、さらっと見れば東京と変わりないのだけど、それでもちょっとした違い、町の空気なんかはやっぱりあって、そういうものは歩くとなんとなく感じることができる。きっと通りと通りの間の路地にこそ面白い場所はあるのだろうけれど、そこまでを歩く余裕はない旅。なにせ仕事。で、思ったよりも目的地は遠く、なんだかんだと30分以上歩き到着。そこからは仕事モード。で、夜に仕事が終わり、21時過ぎに、帰京。23時半ごろには東京に着いていたので、もうなんだかわけがわからない。名古屋にいたことが夢だったようにも感じる。交通の便利さは距離感を麻痺させる。


4日(日)。朝目覚め、というか、娘に起されいつもどうり起きる。それから家族ででかける。埼玉の僕の実家に行った。久しぶりの実家。父も母も元気だった。母は先日、大きな手術をしていたのだけど変わらず元気だった。家の壁に、父が描いた母の画が飾ってあった。仕事を辞めて悠々自適な生活を始めた父は、画を描き始めていた。大きな手術は無事に終わったけれど、もしかして父は、その手術の前にその画を描いたのかもしれない。


昼食は近所のラーメン屋へ食べにでかける。子供の頃にしばしば通った駄菓子屋があった家が無くなって更地になっていた。どこへ行ったのかはわからない。で、タイヤがやけに置いてあってそれで遊んでいたことで通称『タイヤ公園』と呼んでいた公園も無くなっていた。無くなるね、いろいろ。そんなことを思っていたら、母が耳打ちをしてきた。「大袈裟に言うことでもないんだけど」と前置きをして言ったのは、僕よりも1つ年下の近所に住んでいた知人の訃報だった。子供の頃、地元の子供野球チームで一緒にプレーをしていた知人だった。心臓麻痺だったとのこと。原因はわからないが、過労ではないかと。ただし、それもなんとなく流れてきた噂のようなもので、その知人の家族は多くを語ってないとのこと。某有名ファーストフード店で店長をしていたのだという。小学校以来会ってなかったので、全然近況は知らなかった。今でも思い出せるのは、子供の頃、一緒に野球をしていた頃の顔で、少し独特の投球フォームをしていたことだ。そんな頃の記憶しかないから、その訃報が俄に信じられず、なんだか呆然とした。


その後、実家の車を借りて買い物にでかけたけど、なんとなくそのことが頭にひっかかっていた。昨日の出張の疲れもあって、嫁と母が買い物をしている間、昼寝をしてしまった娘を見ているという口実で、僕も車で待っていることにして、いつの間にか寝てしまった。着信音をオンにしていたのに、鳴ったことにも気付かずに寝てしまい、嫁に怒られた。いろいろ買い物をした。春日部にできた新しいイオンに行ったのだけど、実家近辺、そのようなショッピングモールが多過ぎ。ちょっといけば、レイクタウンにばかでかいイオンがあるし、三郷にはららぽーとIKEAがあるし、それでまたイオンができるって、どういう状況だ。イオンの隣にはスーパービバホームもあり、いよいよ便利。しかしビバホームにはこれは不要なんじゃないかと思えるものをやけに置いてある。特に驚いたのは、ライオンの形をしたブロンズ風の置物。約6万円もする。いらねぇぇ。実家に戻り、夕食を食べて帰る。いつもとは違う帰り方で、千代田線の町屋駅から都電に乗り換えた。都電で帰るのは愉しい。小さくガタガタと揺れる感じが良い。


5日(月)。早朝。ちょっとした揺れがあり目を覚ますと、そこからやけに長く大きな揺れがあった。嫁と二人で起きだして、玄関を開けたり、避難用のリュックを用意したりする。揺れはしばらくすると落ち着いたのでほっとした。震度5弱あったらしい。そこまでの揺れかどうかはわからなかったけど、久しぶりに緊張する揺れだった。猫も驚いたのか、まだ早朝だったので再び寝ようと布団に入っていたら、うつぶせになっていた僕の背中に乗ってきた。重かったけど、そのまま寝た。


お昼。近所に住む友人Tくんが、急な辞令で札幌に転勤することになったので集まれた友人たちと昼食を一緒に食べる。雑司ヶ谷のmiyabiというお店。美味しいフランス料理の店。食事もおいしかったけど、コーヒーがとても美味しかった。それから近所のキアヅマ珈琲に場所を移し、後から合流したおさむしと家常さんとおしゃべり。札幌勤務になったTくんは大手携帯電話会社に勤めているのだけど、あまりにも急で、しかもいろいろとケアの無い人事に辞めることも考えたらしい。僕はいろいろと会社を辞めているという、決して自慢できない経歴があったので、いろいろどうなのかと聞かれたけれど、僕の場合は、あまり本当に何も考えてないというか、行き当たりばったりなことになっているので人に言えるようなことは無いと思いつつ、とりあえずいろいろと自分なりの意見を言ってみたり。なんにせよ、30歳を越えると再就職は難しいということは会った。6ヶ月ほど、娘と公園で遊び続けた無職だったもので。いろいろと愉しくおしゃべりをして散会。


外を歩くと風がやけに寒い。昨日は半袖でも過ごせた陽気だったのに、この寒暖差はなんなのか。