東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『語りの言葉とマイマイ新子』

tokyomoon2017-04-26

会社の近くに、地下を通るように改修工事されて使用されなくなった線路跡地を商業施設にしたスペースがある。昨日、仕事場に少し早めに行った時、まだあまりにも時間に余裕があったので、少しそこに行ってベンチスペースでボンヤリとした。昔は線路が通っていたところなので細長いスペースで、両側はビルなどが建っている。晴れて気持ちいい空がそのビルの合間から見えて、日差しも気持ちいい。空を見ていると雲の流れが早いことが分かる。


孫を散歩に連れて歩いてると思われる老婦人が、連れている男の子に何かお話をしているのだけど、その語り口がなんとも魅力的だった。通り過ぎる時間だけだったから話の概要はわからないのだけど、語りのトーンとでもいうのか、その響きのようなものが良かった。それは歳を重ねたことによる味わいのようでもあるし、孫と祖母という関係性にもよるのかもしれない。


昨日は仕事の関係でいろいろな人を見る機会があった。若い人たちが自分の想いや気持ちを伝えようとする。身振り手振りを交える人もいれば、手を膝につけて動かさない人もいる。声が大きい人もいればボソボソと喋る人もいる。その語り方一つにもそれぞれの特徴というようなものがある。


高樹のぶ子さんの『マイマイ新子』を読了。主人公の新子を中心とした子供達の成長の日々が丁寧に綴られた作品。昭和30年という時代の、のどかにも感じられる日常の中に、まだ戦争の名残りがあったり、高度成長期に向かうなかで生活を変えていかねばならない状況に戸惑う人々も描かれている。そういった時代に生きた少年少女の姿がなんだか魅力的。