東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『初めて言ったんだから』

tokyomoon2017-10-06

NHKのBSで放送されていたドキュメンタリー『ミシェルの夢』という作品をたまたま観る。生まれつき視覚障害があり、それの影響もあるのかアスペルガー症候群自閉症を患う少女を追うドキュメンタリー。最初はそういう女性が社会的な自立を目指すドキュメンタリーなのかと思ったら、途中から人生ではじめての彼氏ができ、その彼氏との性的嗜好が一般の人とは異なることもわかり、夜にそういった人々が集うパーティーにでかけるという話もでてくる。彼女自身が最後に、性的マイノリティーの方の人権を尊重する会に出席し、「目が見えないことも、自閉症も、性的嗜好が人と違うことも、それらは私の一部でしかなく、私のすべてではない」ということを、言っていて、それが全てを物語っているのだろうと思う。障害を持っているから全てにおいてハンデがあるわけでもなく、性的な欲求がない賢者でもない。擁護されるべきところは擁護されながらも、平等に扱われることを本人たちも望む。つまり、その人の生き方を肯定するべきという。いいドキュメンタリーだった。


起きて外にゴミを出しに出たら、半袖ではもう寒い。風が吹くと余計に寒さが感じられる。


とある監督の現場を少しだけ見れる機会があった。丁寧に、時に気持ちを前面に出した言葉で役者にモノを伝える。最初は場面ごとに本読みをして、読み終わると気になった箇所について意見を言っていたけど、次第に台詞を止めて演出をつけていき、少し語気を強めて指示をだす場面もあった。


あとから、別のスタッフさんからその監督の逸話を少しだけ伺い、とても驚いた。柔らかい物腰の印象だったので、作品づくりのために徹底した拘りを見せるとは思っていなかった。今でこそ丸くなったと前置きをしつつ、「監督の言うことは絶対で、それをスタッフは絶対にやらなきゃならなかった」と言う言葉に凄みを感じるし、同じ場所で食事をしても緊張して食べた気がしなかった、という言葉でも、何やら緊張感が知れる。


とあるエピソードで、美術セットを大掛かりに変更しなければならない時があったらしく、慣れた別部署のスタッフはその言葉に即対応しようとするのだけど、初仕事の美術スタッフの1人が、「聞いてない」と怒りの言葉をあげたという。それを聞いた監督はこう言ったそうだ。

「そりゃそうだよ。今、初めて言ったんだから」

この言葉がでたら、言い返しようもない。