東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

稽古初日

いよいよリーディング公演「夜を盗む」の稽古が始まった。
17時45分にJR阿佐ヶ谷駅で役者4人と待ち合わせて、稽古場へ向かう。
4人が一同に介するのは、今日が初めて。お互いに緊張しているのは当然。

僕自身知り合い伝手に紹介してもらった人たちだし、役者としてそれぞれの劇団の芝居をみたことがある人も何人かいるものの、一緒にやるのは初めて。僕だって自分が書いた作品を演出だけに徹するのは初めてだし、そもそもリーディング公演だって初めてだ。あ、役者としてリーディングに参加したことは正確にいうと一度あった。

台本を少しでも進ませようと、夜勤の間に書き進めたが朝5時ごろに集中力が途切れて断念。7時半まで寝てから起きて仕事に戻る。朝10時に夜勤が終わるのだけれども、一度家に帰るのもめんどうくさいので、新宿へ。眠い。体がだるかった。いちいち体が弱り自分が本当に情けない。台本を書いても良かったのだけれどもなんとなく集中力がなかった。ふと気がついて、今日が映画の日であることに気づいた。そんな場合じゃないと思いつつ、つい映画を見てしまった。あまり期待せずに「華氏911」を見ようと思ったら満席。いろいろと時間の都合を考えると、新宿の歌舞伎町周辺で見れる映画が「NIN×NIN 忍者ハットリくん」と「シュレック2」だけだった。どうしたもんかと思ったけれども、座ってゆっくりしたい気持ちに負けて「シュレック2」を見る。そういえば、新宿にも有楽町にも映画館が多いところには映画の割引チケットなどを販売しているお店があるのだけれども、毎月1日はお休みだった。考えてみたら当然で、いくら1500円とか1300円で売っていても1000円で見れるわけだから。あと、映画館のチケット売り場に「誕生日の月は毎日1000円で映画を見れるラッキーマンスリー!」とか書いてあった。本当か。新宿のその映画館だけの企画なのかもしれないけれど、それはすごいことになっている。3月になるまでその企画が続いていることを願う。

話は稽古に戻る。まずは今一度自己紹介。ここから僕達は3週間という短い時間ではあるけれども一つのチームを組む。その後、とりあえず役者さんにはかるく体をほぐしてもらう。リーディングとはいえ、いやむしろリーディングだからこそ、発する声が大事。そのあとに台本をできているところまで一度通して読んでみる。初めての読みなのでつっかかるところなど多いけれども、それは仕方が無い。結局全部で55分かかった。長い。想像していたよりも長い。ページ数でいうと34ページなのだけれども、それで55分。多分あと15ページくらい増えるので、このままではリーディングが1時間30分くらいになる。さすがにいけない。もちろん言葉に出して読んでもらうことで、くどい台詞や分かりづらい台詞など多いので、これからはいかに無駄な部分を削ぎ落としていくかが課題になる。

役者さんから「なんだかエロい話ですね」と言われた。今回は確かにエロい作品だ。どういう描写をするかはまだ検討中だけれども、SEXシーンもあるわけで、まぁ確かにエロイ。リーディングという形態をとることもふまえたうえで、今回は男と女の関係から、なんというか人間の心情のようなものを書いてみたいと思い、そのためにはやはり性的なことが避けて通れないと思った。もちろん中上健次さんが書くものへの憧れがある。そういうものを書くからには、それなりのリスクもあるけれど。一応女性の役者さんFさんに、事前に「エロい台詞とかシーンがあるんですけどいいですか?」という何だかよく分からない質問をしたら「全然問題ないです。むしろオイシイです。」とそれはそれでどう答えていいのか分からないものの、有難い返事だったので安心した。そのうえ、Fさんはどのようにしたらエロい雰囲気が出せるのかを自分で考えているらしく、それによると長い髪がエロいのではと考えて、僕はよく知らないのだけれども、簡単に取り外しが可能な部分的なカツラみたいなものをわざわざ付けてきてくれていたらしい。申し訳ないことに言われるまで気付かなかった。そのうえ、図書館でリーディングのための本などを借りて勉強しているらしい。その熱心さたるや、なんだか有難いことだ。

残った時間で、部分的に読みを進める。まずは役者さんに、台本に慣れてもらう。とことん読む。そこから徐々に作り上げていく。今回の役者さんは4人ともまったく毛色の違う方々が集まってくれた。勤勉家のFさんの他に、稽古の時も、そうじゃないときもいつも声がやたらとでかいHさん、声優の勉強をしていたことがあり、とてもいい声をだすKさん、流れるような台詞回しと飄々とした佇まいがいい感じのMくん。うまくまとまればいいものができる予感がする。ただひとつ気になったのは、台本を読む声のバランスが悪い。声のボリュームの大小がやけにはっきりしていて、聞き心地がよくない。そこは今後気をつけて、バランスをとっていく。

稽古後に顔見せということで、駅前の居酒屋へ。酒が入ると、また稽古のときとは違い、すこしづつ緊張も解けていく。台本のことだけではなく、いろいろな話をする。霊感があるとかないとかの話しから、なぜか蕎麦屋の話まで、本当にくだらない話もあり、面白い。Hさんは居酒屋でも帰りの電車の中でもでかい声でしゃべっていた。本当にでかい声だ。

なんにせよ、ここから始まる。まずは台本の完成を急ぐ。そして出来ている部分をシャープに作り上げていく。