東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『譲れないもの』

■ あいかわらず暑い日が続いているけど、暑いからといって外に出ずに家に閉じこもっていると返って辛い。外は風が流れているので意外と涼しいもんだ。すこし立ち止まって公園の日陰とかにいるとわりと心地良い。まぁ家の中でエアコンをつけてしまえばそれに勝るものはないのかもしれないが。


■ 12日金曜日。有楽町であることに関する会議。先月に一度話し合ったあることについて、それをもう少し具体的に話していく。まぁこう書くと何か意味深な感じに見えなくもないけれど、そう大したことではない。今のところは友人同士で、あることをやろうという話で、極々小規模。ただ、まぁ面白く参加させてもらっている。まだはっきりとした方向性は見出せずといった段階なので、とりあえず9月の最初にもう少し明確な話になるように叩きだいを作ってこようと決めて解散。


■ その集まりの後23時ごろ、僕は東武線の北千住という駅にいた。駅に降りたときかなり強い雨が降っていて、その天候の影響で電車のダイヤがかなり乱れていた。なんでもある駅の付近で落雷があり、その落雷のせいで電気系統が機能停止状態だそうだ。


■ 週末の下り電車は、それにふさわしい混み方をしていて、本数が少なくなってしまった下り電車を待つ人でホームはかなりごった返していた。少し様子見をしつつ時間を潰していたけど、0時を過ぎても一向にダイヤは回復することもなさそうだったので、仕方がなく混みあっている電車に乗る。


■ 電気系統が機能停止になった駅に電車は入れないので、その駅の数駅手前の駅まで走るとのこと。ただし、その駅は特別なターミナル駅というわけではないので、着いた電車を逃がすことができない。だから電車を出すだけだしても、その電車を逃がすことに時間を割くため、後発の電車はちょっと走っては一時停止を繰り返すという事態だった。


■ 僕が乗っていた電車に限ってのことなのか他の電車もそういう状況だったのかは分からないけど、僕の乗っていた電車は北千住駅とその隣の小菅駅の中間地点で1時間以上立ち往生していた。それも深夜0時から1時を越す辺りの時間帯で。


■ 満員の近い電車の中では不満を露にする人もいた。やっと電車が動き出して小菅駅に到着してから、駅員にその不満をぶつける人が沢山いた。その気持ちは理解できる。東武鉄道が出来る限り電車を発車させてくれたのは、その状況をなんとかしようとした結果だろうけれど、そのために駅と駅の間で立ち往生になってしまうのはいささか頂けない。ホームで停車していてくれれば、あとは乗っている人自身の判断でタクシーに乗ったり、バスに乗ったりといった選択もできるわけだが、それさえも出来ずに、しかも満員の車内で1時間以上待たされたわけだから。


■ それでも駅員を怒鳴りつけている人を見るのは堪えられないものだった。やはり今回の落雷騒ぎは言うなれば自然災害で仕方がないことなのだ。電車が動いただけでも御の字だった思う。


■ 人によって事情は様々だから、もしかしたら一生モノのなにかをこの遅延のせいで台無しにした人もいるのかもしれないが、自然災害ってこっちの事情に関係なく起こるものだ。そして人為的な被害は、コンピューターや機械制御のものが多い都市部ほど拡大して起きるのも当然だろう。


■ それでも不満は募り、責任を他者にぶつけないと収まらない人はでてくる。わからないことはない。わからないことはないけど、どこか嫌な気分になってくる。


■ さらに嫌だったのが、駅のホームの至るところでタバコを吸う人がいて、トイレや駅構内の至る所に無造作にごみが捨ててあることだ。待つ時間をタバコを吸って潰しているのだろう。喉が渇いたからペットボトルでも買ったのだろう。


東武鉄道は全駅禁煙だ。ゴミ箱も警備の為にずいぶん削減されているはずで、ホームには設置されてないところも多い。しかしこの事態が起きたとき、タバコは至るところで吸われて、ゴミは場所を問わずに散乱していた。


■ 規則は規則でしかない。誰かが決めたから守るというようなものになっているものもある。そういうものはちょっと日常を逸れると簡単に崩壊する。少なくともその一端を垣間見た気になった。


■ 細かいことを言いたいわけではない。モラルを守れとかそういうことではない。規則が規則というだけで守られているのなら、そんな規則には反吐がでる。で、その規則を規則として守るだけの人にも嫌気がする。この世の総体を『世界』とすると、『世界』の中に『社会』がある。規則は『社会』のなかで作られる。災害はしかし『世界』の範囲で起きる。だから圧倒的な災害を前に『社会』は機能できなくなると『規則』など容易にその意味を喪失する。


■ 日常と非日常の境目はどこか。それは分からない。今回の事態は、東京近郊とはいえ、沿線で起きた小さな出来事で、きっと全国版のニュースにすら載らないことだったと思う。だけど小さな『規則』は崩壊していた。自分の主張を繰り返すために駅員を怒鳴りつける人のとなりで、自分の線引きで『規則』を破った人たちがタバコを吸い、吸殻を捨て、ゴミを捨てていた。規則を守ることが重要なのではなく、規則を破ることで自分の信念が失われてしまうのが僕は嫌だ。


■ 『社会』に対する『規則』もそれなりに大事だろう。ただ『世界』に対する自分の信念の方が僕にはよっぽど大事だ。『規則』ではなく守り通したいことがある。こんな些細な出来事で自分の信念をあっさり捨てたくはない。もし、自分の身に、周りにどうしよもないような自然災害が起きたとき、『社会』が崩壊して『世界』がむき出しになっても、その信念を持っていたと思う。僕は全然弱くて駄目な人間だけど、せめて自分の信念は持って生きたい。そう思う。


■ 電車は大幅に遅れた。僕の乗った電車は結局深夜2時30分ごろに目的の駅に着いた。横のホームを見ると電車がまだ走っている。電気系統が機能停止していた駅が深夜2時ごろ復活して、それまで止まっていた準急なども復活したのだ。新栃木や伊勢崎まで走る電車もある。伊勢崎までは北千住から2時間20分ほどかかる。伊勢崎に着く頃にはもう始発の準備の時間だろう。東武鉄道の社員も必死なのだ。強くいたいと思う。せめてどんなときでも自分を貫きたい。