東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『さよならCOLOR』

駒大苫小牧高校の問題を報道ステーションでやっており、マスコミに対応している高野連のお偉いさんが次のようなことを言っていた。

「教育者である大人が暴力を振るってるようじゃ、子ども同士の暴力やいじめを防ぐことなどできなない」


駒大苫小牧高校の野球部部長がどういう暴力を振るっていたのかは判らない。もちろん暴力は決していいものとは思わない。だけどこの発言は絶対にしてはいけない。世の中で起こっているあらゆる暴力を一つの物差しで考えてしまうことをしてはいけない。暴力が暴力だから悪いわけではない。その行為に至った原因は、それぞれ異なるはずだ。大人の暴力とか子どもの暴力とかも関係ない。一つ一つの暴力を一つ一つ必死で考えて、一つずつに存在する真実を見据えなきゃならないはずだ。「暴力」という言葉で全てを片付けてしまうことはあまりにも軽率な気がする。


■ 23日(火)。竹中直人監督作品『さよならCOLOR』を渋谷のユーロスペースで観る。平日の昼間なのに立ち見が出てた。


■ いい映画だった。僕は竹中直人さんが「いいなぁ」と思う風景にとても共感できる。『無能の人』『119』『東京日和』とどの作品にも気持ちいい部分がいっぱいある。ただ、その一方で竹中直人さんの「映画を作ることが楽しくってしょうがない」という雰囲気が鼻につくときもある。今までの映画はその「良い部分」と「鼻につく部分」を差し引きした結果、プラスで終わるのだけど、今回は±0といった具合だった。


■ 人それぞれの好みがあるのだろうけど、僕は友情出演的な登場の仕方があまり好きではない。どうも映画を観る集中が切れる。特に竹中直人さんの作品は僕には好きになれないくらい大事に友情出演の役者さんを登場させており、(たぶんその辺が映画を作る悦びに溢れているのだろうけど)、僕にはどうも駄目だ。


■ あと、竹中映画は毎回脚本家が違い、いつも個性的な方が脚本を書いているので雰囲気が毎回変わっていると思う。僕は宮沢章夫さんの「119」や岩松了さんの「東京日和」の世界がすきなんだけど、そこにはどこか「含み」がある。今回はなんだかいつもにもましてストレートなお話で、ストレートな雰囲気だった。そのストレートな感じのおかげでなんだかさらっと身体を通り過ぎて、ひっかかるものが少ないかなと思いました。


■ それでもやはり気持ち良い。鎌倉や湘南の風景は本当に素敵だし、竹中直人扮する佐々木が病院の屋上でバレエを踊るシーンはいつまでも観ていたい気分になる。ガラスのランプをアイテムとして使うあたりも素敵だ。で、音楽は抜群。竹中映画の音楽はゴンチチ忌野清志郎さん、大貫妙子さん、そして今回のハナレグミクラムボンナタリー・ワイズといっつも素敵だ。


■ とにかくいつも映画を作る悦びに包まれているような人なのだなぁと思う。商業の世界はしんどいこともいっぱいあるんだろうけど、本当に映画を作ることが楽しくて仕方がないって感じでいっぱいで、それはとても素敵なことだと思う。