東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

埼京生活『海でのはなし。』

■ 友人に教えてもらってヤフーの音楽サイトで配信されている『海でのはなし。』というショートムービーを見た。スピッツのシングルコレクション発売記念の作品なので要所要所にスピッツの音楽が挿入されている。シングルになっている曲ってただでさえ曲だけで一人歩きできるほどの強度を持っており、聴く人がそれぞれに個人的な思い入れを持ってしまっているような気がする。正直映画の中で挿入される音楽としてはそぐわない気がした。それはこの作品が作られた主旨もあるし仕方がないところなのだろうけど、どうしてもPVの延長のような印象に。まぁこれは好みの問題だと思うけど。脚本は誰なのだろうとスタッフロールを見ていたらこれこれで話題になっている大宮エリーさんだった。それとチョイ役ではあったのだけど保積ペペがすごく駄目な親父役で出演していた。すごく久しぶりに見た気がした。


スピッツの音楽に関連した作品で個人的に好きなのは黒田硫黄さんがスピッツのライブツアーパンフレット用に描いた短編漫画『さらばユニヴァース』。曲の持つイメージだけで作られた作品なので読むだけではスピッツの曲について描かれたものとは連想できない。だけど曲と程よい距離感を保って作られているので一つの独立した作品として成立している気がする。この作品は黒田硫黄さんの『黒船』という短編集に収録されております。


NHK教育テレビの『芸術劇場』で放送していた金森穣作・演出『NINA−物質化する生贄 1st part』はすごかった。舞台という場所で生身の肉体一つで観客と向かい合うためにストイックなまでに自分の身体と向き合おうとする意志をひしひしと感じる。うーん、すべての役者に舞台に立つってことにここまでの覚悟を要求するのは酷なのかもしれないけど、ここまで覚悟を持って自分の身体と向き合っている役者さんの身体はみごととしか言いようが無い。


『「小劇場演劇」の突出した俳優たちは、優れた自然の資質を持っていたにしても、決してあるがままの肉体を舞台にさらしていたのではない。彼らは日常の資質によりながらも、鋭い感覚を鍛え、それに支配された身体によって観客に語りかけたのである。』


  これはある本に書かれた役者に関する文章だけど、役者ってのは生半可じゃやれないなとつくづく思った。この芝居に関する大変参考になる批評がこちらにあります。