東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『いかにも青春を感じるのだ』

tokyomoon2006-10-27

キューブリックの作品『2001年宇宙の旅』で使われている有名な音楽といえば、わりとその音は誰もが想像できるとは思うのだけど、では、あの曲のタイトルをきちんとご存知の方はどのくらいいるのだろうか。正直なところ、僕は今日まで知らなかった。


■ あの曲の正式なタイトルは『Also Sprach Zarathustra』。日本語訳では『ツァラトゥストラはかく語りき』である。この和訳のフレーズをそれはそれとして聞いたことがある人はずいぶんいると思う。まぁだからって特にこの場でキューブリックの話になったり、ニーチェの話をするというわけではないのだけど。今日、職場でこの話題が出てから、なぜか僕はこの『ツァラトゥストラはかく語りき』という言葉に妙に惹かれてしまった。意味とかそういうことを置いておいて、なんだか素敵な響きとしてこの言葉が耳に入ってくる。うーん、なんなんだろうな。この感覚は。


■ そんな気持ちを引きずりながら、仕事帰りに大西巨人さんの公式サイト『巨人館』でダウンロードした大西巨人さんのインタビュー記事「文学の可能性」を電車の中で読んでいた。大変面白い文章で夢中になって読んでいると、その記事の中にあるドイツ語が出てくる。それはこういう一文。

Mein Busen fühlt sich jugendlich erschüttert 

この一文を「いかにも青春を感じるのだ」と和訳したものを大西巨人さんが紹介しているのだけど、この言葉にも「ツァラトゥストラはかく語りき」と同様の良さを感じた。本来なら原文に言葉の良さを感じるべきなのかもしれないけど、無学な僕にはまだ外国語を楽しむ力はない。ただ、こうやって和訳された言葉のなんともいえない良さを堪能することが少しはできる。読んでないから詳しくはしらないけどちょいと前に声に出してなんたらな日本語というようなものが流行ったが、まぁそういうものに近いところで、和訳された言葉の美しさのようなものを僕なりに感じるわけです。「いかにも青春を感じるのだ」。とても素敵な言葉だ。

そして大西巨人さんの記事はそうとう面白い。こちらも興味のある方は是非。