東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『読む聴くクガツ』

tokyomoon2009-09-15

泣き言の様な文章を書いてしまったせいか、友人たちに心配をかけてしまったようで、メールやら電話をもらう。本当にありがたいことです。
おかげさまで日々の生活を元通り過ごしてます。毎朝、会社に行く前にけだまのお墓に行くのだけれど、それも含めて日常になっています。ただ、見なきゃ良いのにかつてのけだまの写真を見返してしまったり、折りに触れてけだまのことを思い出すと途端に引き戻されてしまい、そうやってメソメソしては妻に、そんなことではけだまが安心して成仏出来ないと怒られる始末ではありますが。

最近、買った諸々。
YMO 『LONDONYMO』
樋口毅宏『さらば雑司ヶ谷
阿部和重対談集
中上健次『重力の都』
村上たかし星守る犬

LONDON公演のライブDVDが最近出たらしく、それも欲しかったけど、ひとまず音源として本を読みながらとかパソコンに取り込んで聞ける手軽さを考えてライブCD盤を購入。そういえばCDを買おうと池袋のサンシャイン通りHMVに行ったら閉店していた。大型のCD店がなくなるってやはりCDが売れてないのか。まぁ、amazonで買っちゃうしな。

雑司ヶ谷近辺に住んでるってこともあり購入した『さらば雑司ヶ谷』。2時間程で読み終えたのは、小説の持つ速度によるのかなと思ったり。物語の序盤、本筋と全然関係なく、突如小沢健二論が展開されるのだけど、そういった脱線にも作者の方の熱を感じる。

阿部和重対談集は古本屋で。保坂和志さんとの対談が読みたかったから。

中上健次の『重力の都』。ひとまず表題作を読む。男女の交わりに関して、山本直樹さんの『フラグメンツ』を読んだときとは対極のような印象を感じるのだけど、それは例えるなら赤く燃える炎と青く燃える炎のような、でも、どちらも熱を帯びていて、同じ地平に存在する、といったような。痛みを積み重ねながら、ずるずると日常が続いていくという共通の終り方をしているのは偶然だろうけれど、そこに一般的な物語とは異なる物語を作ろうとする作者の目線があるように感じる。

M君が薦めてくれたので購入した『星守る犬』。個人的には犬の一人称で語られるメインの話よりも、第三者の視線で語られる後日談の方が面白かった。それは創作はどこまで可能なのかという問題になるのかもしれないけれど。犬が何をどう考えるているかを想像するのは個人の自由だから、何をどう語ろうと自由。だけど、創作において、犬の視線から語るという『自由』には疑問を感じてしまう。後日談で、犬の行程を辿った第三者の方が、その行程を辿ることで自分の過去の記憶に触れ、そのことを踏まえた上で、自分の中の結論として、「犬は幸せだった」と語る『自由』は、創作に許された『自由』だと僕は思う。
視点の異なる2話によって1つの作品としてまとめられた『星守る犬』は、だからこそ2話あることで成立していると僕は思う。