東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『アナドレヌブックオフ』

仕事で外回りをしていた際に、たまたまブックオフに立ち寄る。久しくブックオフに入ってなかったのでやや新鮮な気持ちに。というのも、古本やCD以外に中古販売しているDVDやブルーレイが多くそれが興味深い。というか欲しいものがたくさんある。基本的にはメジャーな作品中心ではあるものの、たまに興味をくすぐる品があり、それを探す宝探し感がなんともいえず。とはいえ、やたらと買い込むわけにもいかず。結果、『西鶴一代女』と『アイズワイドシャット』、それと『ピーターパン』などを購入。あと、水木しげるさんのマンガ『総員玉砕せよ!』も。侮り難し、ブックオフ


その日の仕事後、買い物ついでに家の近所の古本屋『往来座』へ寄る。先日、店頭に島尾敏雄さんの『死の刺』が破格100円で売っていたのを目撃しており、これは買わないでかと思っていた。無事に発見し、店内でさらに棚を物色していると、後藤明生さんの『挟み撃ち』を発見。古本屋に入れば探していた小説。探し方が悪かったのかもしれないが、全然見付からなかった。不意の出会い。これも買わないわけにはゆくまい。


そんな案配で、昼夜古本屋にいた。


帰宅後、娘子と『ピーターパン』を観る。全編をきちんと観るのは初めてかもしれない。ディズニーアニメの、アニメならではの動きが良い。それと、ラストの父親の台詞が良かった。そういう終り方だったか。内容とは関係なく、パブリックドメインであることを利用して販売された盤を買ったため、DVDオーサリングが雑であるところは腑に落ちない。約80分の動画で、片面一層。できなかないだろうけれど、動きのある箇所で、端々に色の滲みやら映像の乱れがある。まぁ、破格の値段だし文句もいえないのだろうけれど。


水木しげる『総員玉砕せよ!』
戦争を実際に体験されている実体験とフィクションからなる長編戦争マンガ。前半の、どこか気の抜けた戦地での生活。極地での平穏な日々。そして突如出現する『死』。後半の怒濤の描写。物語の終盤、追いつめられた小隊の軍医が、上層部に救いを求めて掛け合うくだり。玉砕して死ぬことを命令する上官に命の大切さを訴える軍医。この作品において『死』についてを語る重要な場面。その場面で突如コマ割りが単調になる。1頁に同じサイズのコマが8コマという構成が5頁連続で続く。もっと正確にいうと、その前後の頁の半分ずつも、同じサイズのコマが4コマずつあるので、都合6頁分で、8(コマ)×6(ページ)すなわち48コマのまったく同じサイズのコマによってその対話がなされる。コマ割り自体を表現描写の1つとするならば、この『変化しない』コマ割りも、強い意志によってなされた表現と読むべきだと思う。あえて劇的にすることを避ける。その単調な割りによって表現される淡々としたやりとりが、やがて起こる悲劇をうむを強調する。生がないがしろにされたことへの表現であるように思える。



それにしても朝晩はかなり冷え込みが厳しくなって来た。