東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『夜空はいつでも最高密度の青色だ』

tokyomoon2017-06-02

腰が痛いので、嫁さんが教えてくれた近所の整骨院へ行く。寡黙な感じの治療士の方で、その方曰く、股関節が、特に右側が少し硬いという。腰の痛みはそれほど深刻なものではないとのことで、たくさん歩くようにと言われる。それと座っているときは足を組まず、尾骨を着けないような座り方を心がけるようにと言われる。つまるところ日頃の積み重ねということ。それから謎のローラー状のもので腰をしばらくマッサージされ、テーピングを貼られた。


背骨の、本来だとS字に湾曲してなきゃならない部分がまっすぐになっていてそれも良くないという。そういうのも歩くことで良くなっていく、というか、人の身体は良くできていて、歩いているうちに自然と楽なうえに整った姿勢になるという。なるほどなぁと思う。


夜。石井裕也監督の『映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ』を観る。なんとなく息がつまるような生きにくさがある。自分が20代の若い頃は、日々、面白いと思えることを追いかけて、それが楽しかったし、そのために日雇いのような生活をしても苦ではなかった。不安もなかった。今はそれとは別の日々の暮らしがあり、多少の諸々はあれど、生きていくうえで厳しさに直面することはない。だけど、政治的なことも含めてなんだか周りがどんどん生きにくくなっているように感じる。


スマートフォンを観る街行く人達を大袈裟に表現するシーンがあるけれど、そういった描写にある種の風刺のようなものがあること自体が2017年の映画だし、オリンピックに向けた建築バブルの中で日雇いを続ける様々な出自の人たち、毎月追われるようにある支払い、誰にも気付かれずに死を遂げた老人、地方に住む働かない父親、数え上げたらキリがない積み重ねが、この作品の中で描かれる息苦しさになっていて、そんな中で生きる若い2人に向けて、「ワキ汗かきつつ、がんばれ」と渋谷や新宿で歌い続ける声が響く。ある種の希望のようなものが少しだけ描かれつつ、映画は終わる。


ふっーと一息つきつつ、なんとなく歩かないとなあと思い、家まで少しばかり歩く。


ひとまずは腰が治らないと、日々の暮らしがままならない。