東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『餃子と公園』

30日。朝起きると、どうも調子が良くない。それでなんとなく鼻水が出る。普段、体調が悪くなる時の予兆が節々の痛みなのだけど、昨年くらいから鼻水がでるようになってきた。仕事で中央線に乗り、少し移動。その間もちょっと調子が悪い。昨日、電車に乗って本を読んでいる時も少し疲れがでていたのだけど、正直なところ『ヘヴン』が重い話だったので、それの影響かと思っていた。単純に体調が悪かった様子。

仕事の目的の駅に行き、お腹が空いたのと、体調を戻すためにしっかり食べようと思い、駅前をうろうろ。詳しくは仕事なので書けないのだけど、久しぶりに訪れた町。昔はよく来ていた。最初はまったく覚えてなかったのだけど、いろいろ徐々に思い出してきた。線路を挟んで駅前の雰囲気がだいぶ違う。賑やかな方は、通りごとにお店も多い。検索をしたところ、少し住宅街まで歩いたところに餃子屋があるみたいで、スタミナには餃子だろうとその店へ行く。たどり着くと、住宅街にある小さなお店。こういう時、ネット検索は便利だなぁ。ふらっと入るには勇気がいる。一応、予備知識があって入れるから。本当は直観で突入できればいいのだけど。僕が入って、レバニラと餃子の定食を頼むと、店主さんが「暖簾下げておいて」とスタッフさんに声をかける。どうやら僕の注文でちょうど品切れになったらしい。ラッキーだった。大きな鍋で餃子を焼く。思いのほか水をいれる。いわゆる蒸す、というやつだろう。出来立ての餃子は肉汁も多く、タネもボリュームが満点でおいしかった。しっかり食べて、満足。お店を出るとき、「またどうぞ」と気軽に声をかけてくれるのもうれしい。なかなかその町を訪れる機会はないけれど、また機会があれば来たい。

その後、少し歩いたところにある広い公園へ向かう。そこを訪れるのもずいぶん久しぶり。ベンチに腰掛けて、ドラッグストアで買っていた栄養ドリンクを飲む。普段はあまりそういうものは飲まないけれど、ひきかけた風邪をはねのけるために、と。それからベンチでしばらくぼんやり。この日はやけに暑く、半袖で十分だった。冗談ではなく、蝉が鳴いていた。もう9月も終わるというのに。公園は平日だけど、それなりに人がいる。子供を連れたお母さんが多いけど、家族できている人もいれば、なにやらぶつぶつと言っている怪しいおじいさんもいる。長閑だなぁと思う。

その後は、仕事。それを終えてから新宿へ戻り、また仕事。

家に帰ってから映画を観る。深田晃司監督『海を駆ける』。

映画を基にした小説を読んでから観たので、ある程度の予備知識があった。小説を読まずに観ていたらどういう印象だったろうかと思う。小説は、海から現れた記憶喪失の男を中心としつつも、その周りの4人の登場人物の独白形式で進む。4人の独白が物語を紡いでいき、進行していく流れがあるので、ある意味では4人それぞれの心情がわかるが、映画はその心情はほぼ語られず出来事だけが進行していく。それはそれでもちろん面白く、深田監督の作品は、受け手にたくさんの余白を用意してくれるので自由度があるのだけど、今回は「淵に立つ」や「さようなら」に比べても自由度が高い印象なので、どのように受け止めるか、受け手によってだいぶ違う印象なのではないか。個人的には、物語の進行ともまったく関係ないのだけど、日本から死んだ父親の遺骨を海にまくためにやってきた女性が体調を崩している時に寝ていたベッドの横のサイドボードに置かれた青い、とても青い電気スタンドの配色がとても印象的だった。