東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

演劇をする悦び

■ 昨日の朝は驚くほど寒かった。街にある温度計を見ると4℃だった。寒い。北海道にいたときは冬になるとなんでもない日でも氷点下だったりするけど、あれはあれで寒かった。しかし4℃でも寒い。寒さは絶対的な感覚ではない。相対的な感覚だ。氷点下の気温に慣れていたときに、4℃になったりすると寒くない気になった。しかし関東の4℃は地獄の責め苦だ。死んじまう。

■ 稽古は続く。昨日は僕が出る部分に一緒に出ている役者さんが休みだったので、この前すこし揉めたところは結局稽古できなかった。稽古をしないのに蒸し返すのもどうかとおもったので、それに関しては持ち越し。まぁ揉めるつもりもなく、考えた上でそれでも今までどおりの演出をするというのなら、それでいい。意志のある演出ならば、それ以上口出しするつもりもない。ただ、それとは別にちょっとどうかと思うような事態が発生。なんでこんな時期まできてそんなことで問題が生じるのだろう。よく分からない。というかムカムカしてきた。その当事者が稽古場に来て、おかしなことを言おうもんなら、俺は間違いなくきれるぞ。

■ 一緒に今回の芝居に参加しているMくんが書いている途中の台本を見せてくれた。もうかれこれ一年以上かけて書いている台本らしく、何度も手を加えては書き直しているそうだ。早速読ませてもらったのだけれども、その台本はとても面白かった。とても丁寧なプロットの作り方をしているし、台詞のそこかしこにMくんの持っている柔軟さや面白さを感じる。うれしいことにそれをやるときは僕にも役者として出てくれないかと言ってくれている。じっくりと書く。なんども手を加えて、よりよい作品を作ること。Mくんのそういう姿勢が僕は好きだ。

■ で、実は僕も1年くらいかけて何度書きなおしを繰り返している台本がある。何か思いついたり時間があればいつでも作業ができるように、いつもカバンの中にいれてある。最近は全然手をつけていなかった。壁にぶつかったような感じになってしまっていたからだ。一応、全て書き終えているんだけれどもどうも釈然とせずにいて、かといってどうしたらいいのか分からないという状態だった。Mくんが自分のまだ未完成な作品をそれでも見せてくれて、しかもとても刺激的だったので、僕は思い切ってMくんにその台本を見せてみた。

■ Mくんは褒めてくれた。とてもうれしかった。そしていろいろとアイデアをくれた。それがまた面白くて、書くヒントになった。稽古の休憩時間に二人でいろいろしゃべった。自分が書きたいことについて。そういうことを話すのが楽しかった。お互い、まだその作品は未完成だけど、じっくり作っていきたい。もっと書き直そう。安易に物語をくっつけるのではなく、厚みを加えていく。そうすることできっとさらに納得のいく本が書けるはずだ。それで気づいた。そういったことに、僕は今、演劇をやる悦びを感じる。