東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『父が買う』

tokyomoon2009-11-18

17日。仕事で千葉の方に車で向かう。久しぶりの東関東道。長時間の運転自体も久しぶりだったうえに雨も強かったので緊張した。うってかわって18日は快晴。少し肌寒いけれど空が青くてきれい。


実家に戻った時に、父が、会員権を買ったと言っていた。ゴルフの会員権のこと。僕が中学生くらいの頃から父はゴルフの会員権が欲しいと言っていた。なので、会員権という言葉は知っていたが、今もそれが一体なんなのかは正確には判らない。もしかしたら会員『権』ではなく、会員『券』なのかもしれなが、それさえよく判らない。欲しいのならば買えばいいのにと子供ながらに思っていたが、それがどうやらかなり高いということも父の口ぶりからなんとなくわかった。ゴルフの会員権を父がこれまで手に入れなかったのは、息子2人を育て、家のローンやらを払わなくてはならなかったから、だろう。と、憶測なのは、父がそう言う類いの話を僕の前では決してしなったからだ。筑波の近くのゴルフ場の会員権らしく、時間があればそこへ行くのだと心持ちうれしそうに話しており、「ゴルフができれば俺はそれでいい」と言う父の言葉は極端と言えば極端だと思うけれど、父の性格を知っている身とすると大げさではない気もする。ずいぶんと我慢をさせてしまった一因は僕ら息子にもあるのだろうから、多少の申し訳なさもあり。これからは存分に会員権を使い、好きなゴルフを楽しんで欲しいと思う。


戊井昭人さんの『まずいスープ』読了。短編が3篇入った小説集。途切れ途切れの話が、たまにつながったり無関係だったりしつつ小説の中の時間がゆっくり進んでいく。『鮒のためいき』という短編の、スナックや土手でのやりとりの、そこに流れる時間を読むことの心地よさ。ともすれば忘れ去られてしまいそうな、見知らぬ他者とのわずかに生じた接点を、決して高尚なものにするわけではなく、ありのまま書いているようで、だからこそそこにまた異なる味わいがある。なんというか、イメージだけでいうと、平面のようにみえたものに奥行きがあることが判ったとでもいうような。
というわけで戊井昭人さんが主宰をされている鉄割アルバトロスケットの公演も観たいもんだと思ったら、まさに先週末まで公演をやっていたらしい。なんだ、その絶妙に残念なタイミングは。