東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『野田さんの言葉』

3月に入り、少しばかりいろいろなことが落ち着いて見えるようになってきた。それは本当に有難い。が、とはいえ、バタバタはしており、せっかくの3月1日、映画の日も何も観れずに終わる。

そんな最中、吉田恵輔監督の『愛しのアイリーン』をDVDで観る。原作を読んでない中、映画を観た。原作ありの作品が、見事な人間ドラマとして一本の映画になっている。吉田恵輔監督の作品は『銀の匙』も原作のコミカルさを排しつつも、根幹にある生きている人間が生きている動物を家畜として育て、食べることをきちんと描いていて、それが面白かった。この『愛しのアイリーン』は母が子を愛する、そして、男が女を、女が男を愛することをきちんと描こうとしている。血と、性愛。理屈などが無い絶対の愛、欲望。そして、その先にある男女間に培われる愛。ほんと、監督名だけで観たいと思える映画監督。

それにしても、コロナの問題。そしてそれから派生するアレコレのがっかりするような事態。トイレットペーパーが無くなるという噂とその噂であっという間に店舗から無くなるトイレットペーパー。なんなのだろう。なにゆえ、そんな短絡的になってしまうのだろうと思う。僕もそこまでいろいろなことに詳しいわけではないけれど、何か物事が起こるときは、せめて少しばかりは調べる。で、少し調べれば少なくと噂になっていることについては自分なりの判断ができるようになる。トイレットペーパーが無くなるなんてことは少し調べれば単なる噂でしかないことがわかる。

他にもコロナに関しても、どこかヒステリックな事態になっていると思う。もちろん深刻な事態。だけど、あらゆることを中止にして、コロナが発生したら発生源を諸悪の根源のように言うのはどうなのだろうかと思う。

だから、野田秀樹さんの声明文は本当に素晴らしい。

https://www.nodamap.com/site/news/424

かつて、2011年3月。震災が起こった後、野田秀樹さんは野田地図の公演で「南へ」を上演していた。震災があり、公演が4日上演中止になった。僕はどうしてもその公演が観たく、立ち見で観劇したが、その公演の客入れの際に、野田さん自身が以下のような言葉を語られた。元来、芝居はロウソク1本でも出来ると言って来たのに、やはり公演ができなかったことに、なんともいえない気分に陥ったこと。こういう時こそ、自分にできること,芸術活動を続けねばならない、と。何年も経っても、野田さんはまったくぶれずにそれを言葉に表明した。そのことの素晴らしさ。僕自身もその言葉を全面的に肯定したい。