東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『晴れなかった土曜』

朝、起きたらあまり天気が良くなった。予報では今日は晴れるということだった気がするが、改めて予報をみると曇り。場合によってはちょっと雨が降るという。残念だ。布団を干したりできると思ったのだけど。

で、朝食を食べてからぼんやりしていると、娘が人生ゲームをやろうと誘ってくる。娘、なぜか人生ゲームが好きだ。結果、このゲーム、ひとまず良い職業になれるカードを早めに引いて、昇格すれば、結構怖いものはない。逆に、ずっと就職できずフリーターのままでいるとなかなかお金が稼げないばかりか、サイコロを振って止まった目によっては謎の支払いが多く、約束手形だらけになる。「早めに良い仕事につかないとダメだよね」と娘が言うが、そういうゲームが面白いのかどうなのか。ゲームぐらい夢みたい気もするが、ゲームでさえ、借金は嫌だ。

で、昼食を食べて、ぼんやりしてから、仕事などもあり出かける。夕方過ぎに、上野まで行き、そこでメールなどをしようと喫茶店を探す。知り合いから教えてもらった『ROUTE BOOKS』というお店を探してみる。試しに住所となんとなくの案内だけを頼りに、ふらふらと歩く。番町名などを見つつ、うろうろしていれば、なんとか見つかる。工場跡を結構そのまま活かした作りの本屋であり、カフェスペースもあり、隣には植物を売っていたり、木材を売っていたりしている。路地にあるのだけど、その路地では子供たちがボール遊びをしていたり、なんだかのどかでいい。仕事をしつつ、本も読む。

柳美里さんの『JR上野駅公園口』。息苦しい。こういった資本主義の中で、うまく生きることができれば収入を得ることができて、それで不自由なく過ごせる人もいるのだろうが、そういう風にうまく生きれない人もいる。そのうえ、家族の不慮の死などがあり、その死に対して自分は何もできなかったという負い目があれば、尚更、生きる事は辛い。

福島で暮らす老人が、逃げ出した先が上野だったのか。それは、東北の人にとって上野が玄関口である以上の意味があると思う。

途中まで読んで、それで店を出る。すっかり日も落ちた。上野と入谷の中間くらいにあった店なので、そのまま入谷方面に歩く。わかりやすいのは昭和通りを歩けばいいのだけどそれはつまらないので、一つ入った路地を歩く。静かな住宅街。開けっ放しの窓からの音楽が聞こえる家がある。通りに面してすぐに玄関がある作りの家が多い。玄関に『ジジ居ます』と貼ってあるおうちがあり、なんだかそういうのが良いなぁと思う。今はどうなのかわからないが、かつて地域のコミュニティがしっかりあったときは、玄関の鍵なんてしてなかった。うちでさえもそうだった。地域全体で防犯体制はあった。今は隣の人でさえ、誰なのかわからない、みたいになってしまうと、結局、自衛するしかない、みたいになり、息苦しい関係になってしまう。ぼんやり歩いていると、いつの間にか三ノ輪まで来ていたので、そこから日比谷線に乗って実家へ。実家の最寄り駅に着いた時、多少、小雨が降っていたが、歩けないほどではなかった。

まだ21時手前だったけど、母はすでに布団に入っていた。僕も0時過ぎくらいに寝室へ行き、ぼんやりとしていた。いつの間にか寝てしまっていたら、3時過ぎに、母が突然、寝室に入ってきた。さすがにびっくりして思わず声をあげてしまった。眠れないし、胸が苦しいという。よく見ると、涙を流した跡がある。「くるしいよ、眠れない」というので、一緒に母の布団のある和室へ行く。で、少し話に付き合っていると、落ち着いたようで、大丈夫、ごめんね、甘えちゃって、という。実際、胸が本当に辛いならおおごとだ。ただ、ここ最近の感じだと、夜、眠れないとやけに深刻に物事をとらえる感じになってしまっているので、杞憂だろうとも思うが、そういう過信で、母が倒れたとき、あわやということがあった。ひとまず、眠れそうだということで、寝室へ戻り、僕も眠る。