東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

ネバーランド

『』  
松瀬研祐 2005/01/21 14:19
■ 晴天だ。寒いけど晴天だと、それだけでなんだか楽しくなる。これで冷たい風さえ吹かなければ、すごくいい。富士山がよく見えるし。

■ 昨日は夜勤明けに、さいたま新都心という大そうな名前の駅にあるコクーン新都心という、これまたなんとも大そうなショッピングモールに出かけた。この手のショッピングモールは本当に至る所に作られている。正直、変わり映えしない。でも、まぁこういう風な「一日いても飽きなそう」なオーラの出ている場所に人は集まりやすくなるのだろう。かく言う僕も、フラフラ行っているわけで。

■ そこにいわゆるシネコンがあって、そこでジョニー・デップ主演の「ネバーランド」を見る。ピーターパンの原作者ジェームズ・バリとデイヴィズ家の人たちとの交流から、ピーターパンの物語が出来るまでを描いた作品。いわゆる感動モノとでもいいましょうか。どうしてこの映画を見に行ったのかというと、ジョニー・デップが好きだからというのが一番の理由ではあるけれども、それだけではない。実は以前、この映画の予告編を劇場で見たとき、迂闊にも泣きそうになってしまった。どうして泣きそうになったのか、自分でもよく分からなかったのでけれども、なんだかぐっと来てしまった。僕はいわゆる感動を全面に押し出して宣伝する映画は見に行かないと決めている。宣伝する方は、もちろんより多くの人に来てもらいたいからそうするんだろうし、そういった宣伝方法を否定する気はない。ただ、僕個人の好みとして、「感動」「恐怖」「大迫力」とか言葉一つで括りやすい映画はあまり好きじゃない。そんな分かりやすいものをわざわざ映画館に見に行く必要はないと思っている。ひとつの言葉で言い表せないようなうねりや空気がある映画が好きだし、そういうものに刺激を感じる。

■ 正直、「ネバーランド」は予告編で大体どんな映画かわかるようだった。それでもなんだか見たくなったのは、結局「気分」だと思う。甘いものが苦手でも、たまには甘いものを食べたくなる。そういった具合だ。そういうことってたまにありましょう。気分だ。通常つっこみの芸人さんもたまにはぼけてみたいでしょう。藤子F不二雄さんだっていつもは超脇役のスネ夫が妙にオイシイ役目の話をたまには作りたくなるでしょう。いや、よくわからないけど。

■ いい映画だった。ジョニー・デップ以外の役者さんもいい俳優だったし、物語もコテコテの感動ものではなく、一本芯がしっかりしている話だった。申し分ない。で、申し分ないので、なんだか物足りなかった。もう、ここまでくるとどういったことになっているのか、自分でもよくわからないんだけれども、物足りない気がするのです。なんにでも難癖つける人みたいで、嫌なんですが。それはもう、野球で例えるならイチローがヒット打つような感じ。打ちますよ、イチローは。天才ですから。でも、僕はイチローがヒットを打つ姿より、新庄がヒットを打つ方が同じヒットでも面白かったりするわけです。もしくはどこぞのピッチャーがホームラン打っちゃうとか。

■ 誤解されないように、というか僕の言葉で判断が変わるなんてそうあることではないと思いますが、おそらくこの「ネバーランド」10人中9人は良い映画だと言うんじゃないんですかね。僕にはそれが物足りない。10人が見たら5人は良かったといって他の5人は良くなかったというぐらいの危うさがいい。人によって判断が大きく変わってくるような、危うさ。ギリギリな感じ。だから一言で表せないし、表そうとすることがそもそも間違っているというような。そういうものを見たい。僕が刺激を受けた作品はけっこうそういう作品だった気がする。まぁ、わがままですな。

■ いきなりだけどスーパーカーが解散した。大好きなバンドだった。大学時代の最後に作った芝居では、このバンドの曲を使った。その曲から刺激を受けて芝居が生まれたといっても過言ではないくらい、その曲が好きだった。解散っていうのはもう仕方が無いことなんだろうけれども、やはり残念だ。