東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

千鳥日記『演出を降りる』

■ 今日はすごくいい天気だ。予報によると東京は20℃くらいまであがるとか。そうなると昨日寒かっただけに一気に桜が開花するのではないか。朝の通勤電車から見える景色でも、桜が少しずつ花を咲かせていた。いい季節の到来だ。

■ 一つの短編で任されていた演出を降りることになった。結局、一昨日メールで聞いた件について、昨日の稽古では何も言われず、夜にメールが届き、演出を交代することになった。はっきり言って残念だ。

■ 貰っていた台本では軸になる部分がどうも判りずらいので、少し書き加えて欲しい、もしくはこっちで書き加えたいと作家に頼んだ。出来る限り作家の意思は尊重したいとは思うから、同意してくれるのならば書き直しは任せたいと思ったからだけれども、どうやらそういうことを含めて僕が手を加えようとしていることが、作家の側からしてみると作品世界自体への干渉になっていたのだろう。

■ まぁどういった目論見で僕に演出を頼んだのか最初から判然としなかったといえばそうだったのかもしれない。そもそも演出を頼んだ人は僕がどんな演出をするのかよく知らなかったはずだし。まぁそんなに深く考えずに頼んだのかもしれないけれども。

■ 残念なのは、作家さんが予想しなかった演出を僕がしていたのだとして、それが作家さんに満足してもらえなかったというところか。僕の演出の力がまだ足りないのかもしれない。それは本当に残念だ。

■ ただ、面と向かって言って欲しかった。そもそも今回も作家さんが舞台監督の人に言った一言を僕がたまたま聞いていたから、疑問に思い作家さんにどうなのか尋ねたところ、こういう結論になったわけだったけれども、こういう機会がなかったらどうしていたのだろう。黙々として過ごしていたのだろうか。それで不満なことを他の人にぶつけていたのだろうか。自分が書いた作品を僕が変えてしまっていると感じたのならば、全力で守ればいいのに。演出は作品作りにおいてかなりの権力を持つけど、絶対ではないわけだし、疑問があったら稽古の時に言えばいい。他の役者さんだってそこで議論が生まれればいろいろ考えるわけだし。僕の演出が違うんじゃないかという意見が多くなれば、僕だってもう一度考え直すきっかけになる。だからこそ稽古場があるはずだし。正直、今回に関して、そういう議論の部分がどんどん減ってしまっている。僕自身、事を荒立てないで無難に過ぎればいいなと思ってしまっているところもある。

■ ひどく窮屈な現場になってしまった。そして僕はどんどん一役者のみになっている。この芝居全体の空気を作れる位置にはもはやいなくなっている。一端を担うことぐらいが出来る程度か。それすらできないか。もちろん責任は僕にもある。しんどいことを避けて通ってきてしまったツケなのだろうし。しかしひどく窮屈だ。残念でならない。