東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『砂に埋もれて』

ニュースにもなっているけれど、外はすごい風だった。といっても午後からは家の中にいたのだけど。


午前中のうちに娘子と公園にでかけた。いつも行く近所の公園。象の形をしている滑り台があるので、通称『ぞうさん』と言うと娘子は理解してくれる。最近は『ピングー』も見飽きてきたのか、しばらく見ていて、頃合いを見計らって「ぞうさん行く?」と声をかけると自ら玄関に向かう。


公園の砂場で遊んでいると野球のグローブとバットを持った男の子2人がやってきた。兄弟だと思われる。しばらく遊んでいると、どういういきさつなのか突然口論を始めた。おそらくボールを貸せ貸さないという、きっかけは些細なものだったのだと思う。

一人はブランコで遊び始め、もう一人は僕と娘子がいる砂場にきた。互いに気にしつつも一人遊びを始める。砂場に来た子は、砂の上で正座をし自分の半身に砂をかけ始めた。どんどんと砂をかける。次第に膝上が砂で埋まっていく。それでも男の子は止めない。ブランコに乗るもう一人の子が「こっちきて(背中を)押せよ」と言うと、「いやだよ」と言ってさらに砂をかけ続ける。といっても声はしっかりと聞いている。すぐに反応をする。互いに牽制しあっている。気にし合っている。

男の子は靴を脱いで、裸足になってそこにも砂をかけはじめた。掘って、それを自分にかける。

その行為に、意味はそれほどないのだろう。時間が経過するためにかけている。おそらくブランコに乗っているもう一人の子も同じだろう。僕は、男の子が自分に砂をかけている行為が、本当に興味深くてぼんやりと見ていた。不思議な流れの手の動き。砂に埋もれていく身体。動くたびに砂が流れ落ちていく。そして、じっとみていた娘子が近づいて、その子の裸足の足に砂をかけ始めた。男の子はその行為自体は拒まずに、足を動かして砂をよける。コミュニケーションが成立しているわけでもない、意味からやけに離れたところの砂遊び。

僕にはそれが本当にどんな映像や演劇よりもずっと興味深かった。