東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『試写を観る』

暖かかったり、寒かったりと気難しい天気。雨は降ってしくない。もうしばらく桜の花を見ていたい。そういえば、今日、会社帰りの22時頃、よくわからないおじさんの八百屋の行商のような出で立ちの方にみかんを売りつけられそうになる。なぜ、こんな夜にみかん一箱を売りつけようとするのか。


28日(木)。仕事のバタバタをこなしながら、「この世で俺/僕だけ」の試写に出かける。話を聞くと、「是非スクリーンで試写を!」という声に応えて、関係者試写をスクリーンでやることになったとか。とても粋な計らい。何より、そうやってスクリーンで拝見できることがとてもうれしい。


と、いうわけで、仕事をほかして向かった。予想はしていたけれど、やはり1人で行ったわけで、撮影の長時間を共有された他のスタッフや出演者の方々が和気あいあいとする中で、ロビーで呆然と開始を待つ。人見知りだし。


そして、上映。感想は、もう、なんというか、あまりにも個人的感情が入り過ぎて、客観視出来ず。いくつか、自分の脚本上の至らぬ点で考えるところがあったけど、役者の方の演技、スタッフの方の仕事には本当に感激。自分が思い描いていたよりも、ぐっと面白く、とてもシャープにしてもらえていた。そして、個人的には、終わり方もすごく好きだった。本当のところ、改稿を重ねるうちに、だんだん終わり方が良くない方向に進んでいた。決定稿の終わり方を読んだ時、これはこれで、という少しばかり消極的な気持ちもあったけど、それとは異なる終わり方で締められていて、僕はそれが本当に良かった。


上映が終わり、監督が挨拶をする。「100人が80点をつける作品ではなく、1人が120点をつけるような作品を目指した」。ああ、その考え方、本当にいいなぁと思う。一歩間違えばそれは独りよがりかもしれないけれど。それの方が僕は好きだし、少なくとも、この作品にはそれがふさわしい考え方だと思う。


で、恐縮ながら、監督が話の流れなのか、僕のことを紹介し始めて、なぜかコメントまで言うことに。いきなりのことで、もうワタワタする。とにかく、自分が書きながら思い描いていたものなんか比べ物にならないものが映像化されてましたと伝えたく、そんなわずかなことを言いよどみながら、なぜか2度繰り返して話すという、わけの分からないことをやってしまった。もう、そういう話は、苦手だし、プロデューサーの方がつっこんでくれたのだけど、正直言うと少しばかり泣きそうになってたのです。スタッフ、キャストの方には、もう感謝の言葉しかなく、こんな実績のない者が書いた脚本に取り組んでいただけたことに、本当に、ただ、ただ感謝しかありません。


ロビーにでてから、一息ついていると、主演のマキタスポーツさんが声をかけてくれて、少しばかり話をさせていただく。劇中で、マキタさんが唄う歌がある。『弾丸アームストロング』というその曲は、恥ずかしながら詩を僕が書かせていただいた。どうやら、歌詞の当て方が、常識的な歌詞の当て方ではないらしく、レコーディングがとても大変だったとのこと。でも、そのセオリーではない感じがこの作品にふさわしいと言ってくれた。とてもうれしい言葉です。それからポツリポツリと声をかけてくれるスタッフさんがいて、みなさん、一回きりのテレビ放送ではもったいないと言ってくれる。それは、僕も同感。スクリーンの大画面で、フルボリュームで見て、本当にそれがよかった。大画面で、フルボリュームで見てほしい作品なのです。


監督に別れ際、終わり方のこと伝えた。聞くと、もう現場でも、脚本に書かれたラストのシーンは撮らなかったのだという。いろいろな事情もあるのだろうけど、それが良かった。少なくとも僕にはあのラストのバツッと切ったような潔さが良かった。


終わって劇場を出て、ぼんやりと空を見上げた。興奮もあり、緊張もあり、とてもクタクタになったけど、心地よかった。


いよいよ、今夜番宣がある。


写真は、試写に来た方だけに配られたポストカード。とてもかっこいい立ち姿の俺と僕だなと思う。