東京から月まで

東京在住。猫と日常。日々のことなど。

『見上げて抜け殻』

16日(金)。有楽町で朝からとある映画の試写を観させてもらう。いわゆるヒーローアクションもの。日本の映画もがんばっているのだなぁとぼんやりと思いつつ、アクションシーンはCGを多用するとどうも重みがない感じがする。外を歩いていたとき、朝の10時くらいなのに、日比谷の映画館がすごく並んでいた。上映作品を観ると、どうもテレンス・マリックの新作を観に来ている人の行列のようだ。観たいな、新作。そして今月末からは「オン・ザ・ロード」も上映されるらしい。そっちも観たいよ。


17日(土)。休み。久しぶりに娘と近所の鬼子母神を歩く。娘と嫁のこの夏の楽しみの一つに、蝉の抜け殻採集があるらしく、それに僕も参加。蝉の抜け殻を探す。僕は地面に落ちているものなのかと思ったのだけど、抜け殻は木の枝にくっついているものが多く、境内の中を見上げながら抜け殻を探す。そうすると思っているよりも抜け殻はたくさんある。確かにあれだけ蝉が鳴いているのだ。その分、抜け殻もあるはずだ。いつも、ぼんやりと歩いているけれど、見上げながら抜け殻を探す散歩も楽しい。


その後も娘と公園で遊ぶ。サンダルが嫌なのか、公園に着くと娘はサンダルを脱いで裸足で走り回る。怪我をしそうで心配になるけれど、まぁ、裸足で走るのは気持ちいいのだろうなと放っておく。怪我をしたら、そこから気付けばいい。お昼過ぎまで娘と遊び、昼寝をしてから夕方に家のまわりの草むしり。今日は暑さもほどほどで夕方は心地よかった。そういえばもう、8月も後半に入る。どこか夏の終わりを感じる夕暮れ。娘と風呂に入ってから、家族三人でカラオケに行く。娘の思わぬ熱唱。


小林信彦さんの『うらなり』が、近所の古本屋で100円で売っていたので飛びついた。前から読みたかった。夏目漱石の『坊ちゃん』をうらなりの視点から描いた作品。小林信彦さんの文章は本当に味わいがある。で、実は僕は『坊ちゃん』を読んだ事がなかったので、『うらなり』を読み終わってから『坊ちゃん』を読んでいる。きっとこんな風に読んでいる人は珍しいのだろう。『坊ちゃん』の江戸っ子気質をうらなりはどこか冷ややかな目で見ている印象を受けた。僕自身、江戸っ子の気質などよく解ってないのだけど。それで、たまたまだけど、数日前に山田太一さんが書かれた浅草に関する文章を読んでいたこともあり、そこに描かれている浅草の気質を知り、坊ちゃんと浅草の、江戸っ子の精神のようなものに触れているような感じになる。